ロンドンから琵琶湖のほとりへ移住し、今まさに「人生をリノベーション中」だというエッセイストの麻生圭子さん。麻生さんは元々、人気作詞家として活躍していましたが、「若年発症型両側性感音難聴」という難病が進行し、エッセイストに転身したといいます。

65歳を過ぎても人生をサイズダウンしなくていい。必要なのは「人生のリノベーション」【麻生圭子さん】_img0
一目惚れしたという、湖畔のビンテージの小屋を夫婦でリノベーション。「デッキは第二のリビングルームかもしれません」と麻生さん。(写真:『66歳、家も人生もリノベーション 自分に自由に 水辺の生活』より)

聞き馴染みがない病名かもしれませんが、「若年発症型両側性感音難聴」は40歳未満で発症し、両耳が徐々に難聴になる病のこと。フジテレビのドラマ『silent』で、目黒蓮さん演じる佐倉想が患っていた病気と同じ、というと、イメージが湧く方も多いかもしれません。

 


60代は「人生のリノベーション世代」かもしれない


麻生さんは現在66歳。50歳を手前に聴力障害6級となり、ここ10年で病は進行し、数年前に身体障害者手帳3級に。

ですが、現在は手術によって人工内耳を入れ、夫と一緒にビンテージの小屋をこつこつとリノベーションしながら、新たな音に耳を澄ます毎日を暮らしています。『66歳、家も人生もリノベーション 自分に自由に 水辺の生活』は、そんな麻生さんの日々を綴った1冊。

湖面をわたる風、その風に揺れる木立、膝の上で眠る猫たちの温もり……小さなしあわせを感じながら、老後にも明るい眼差しを向ける麻生さん。「66歳は、世間では終活を問われる年齢ですが、私は『リノベーション世代』だと感じているんです」——麻生さんがそんなメッセージを寄せた本書から、自身が「リノベーションしたこと」について、特別に一部抜粋してご紹介します。

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麻生圭子(あそう・けいこ)さん
1957年生まれ、東京育ち。80年代、作詞家として、浅香唯などの人気アイドルのヒット曲を多数手がけるも、聴力が衰える病気「若年発症型両側性感音難聴」が深刻化し、エッセイストに転身。96年、結婚を機に京都に移り住み、『東京育ちの京都案内』(文藝春秋)、『京都がくれた「小さな生活」』(集英社)などを上梓。1年のロンドン生活を経て、2016年より琵琶湖畔に暮らす。