多様な働き方にまだ保育園の制度が追い付いていない


——理屈では保育園側の言い分もわかりますが、実際生活していくとなると、純然たる仕事以外の時間は1分たりとも預かりませんみたいになると、親は追い込まれてしまいますよね。

山﨑:例えば夫だったら、落語家の稽古の時間って正直別に家でできるところもあります。でも、子どもを預けて仕事をすることを認めてくれないとなると困ります。それに自由業だと、付き合いとかもあるし、どこまでを仕事とするか定義がちょっと難しい。保育園的には仕事じゃないと言われてしまうような仕事もある世界だということを、あんまり理解してもらえないとつらいなと思いました。

——子どもを家で見ながら仕事って、形式的には不可能じゃなくても、間違いなくまともに仕事なんてできないですよね。

山﨑:入ろうとした保育園では、夕方4時台までしか預かれませんって言われたんですよ。でも、私はどうしても夜の仕事が多い。保育園自体は夜8時ぐらいまでやってるところだったので、「0歳児はもうそれがマックスってことですよね?」と一応聞いたら、「あのねお母さん、そうやっておっしゃる方います。でもね、保育園に預けてみるとやっぱり一緒にいたいって思うようになると思う。お子さんはとにかくお母さんと一緒にいたいのよ」って言われて。

 

——うわぁ、三歳児神話・母性神話みたいなことですよね。いまだにそんなこと言う人いるんですね。

山﨑:でもそれは保育園の考え方だから、しょうがないじゃないですか。そこで私が「園長先生あのね」なんて言い出してもね。近くに住んでる女の芸人の先輩に、0歳児でも夜の8時半まで延長保育してくれる認証保育園※があると聞いて、ちょっと見学に行ってみたんです。預けるところがあると思えるだけで、働いてる上での気持ちが違います。

 

私たちみたいな人のために認証保育園があるんだと思うんですけど、認可保育園でも自由業の人の仕事の不規則さや、仕事に付随するいろんなことが発生することに理解があったらなと思います。もちろんできるだけ家にいるのが良いことはわかってるけど、仕事の都合でどうしてもそれができない家族もいるじゃないですか。そういう人に、あんまり説教するのではなく、ちょっと例外を作ってくれるような保育園が増えたらありがたいなとは思いましたね。

※認証保育所:現在の認可保育所だけでは応えきれていない大都市のニーズに対応しようとする東京都独自の制度。全施設で0歳児から預かり可能、13時間の開所を基本とするなど、多様な働き方のニーズに対応している。

——本当に切実だと思います。やっぱり会社員がデフォルトで、全てにおいてフリーランスは想定されていないっていうのはありますよね。