ハロートレーニングは最短2ヵ月、最長2年の訓練制度
以前こちらの記事で、厚生労働省が認定する講座を受ける場合は、受講費用の20~70%が給付される「教育訓練給付」という制度があるとご紹介しました。対象講座は、医療事務や食生活アドバイザー、ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引士(宅建士)など、約1万4000にも及びます。
今回、里子さんがご友人に教えてもらったという「ハロートレーニング(ハロトレ)」はそれとはまた違う別の制度で、職探しをする方を対象とした無料の職業訓練です。急に仕事がなくなったけれど、手に職がないから何かしらのスキルを身に付けたい、働きたいけどスキルに自信がない、といった方向けに、国が行っている学校のようなもの。
学べるのは、事務、介護、IT、建設、製造、デザイン、Web設計などで、受講期間は最短2ヵ月、最長2年です。会社を辞めたタイミングで失業手当給付のためにハローワークに行き、こちらの制度を知ったという方もいるのではないでしょうか。
ハロトレには「①公共職業訓練」と「②求職者支援訓練」の2種類があり、その方が置かれた状況によって受けられる訓練が変わります。
講座内容については、ハローワークインターネットサービスで検索できます。
ハロートレーニングは年間約26万人の方が受講しており、受講者の7割以上が女性です。訓練期間中は生活費の確保が難しくなりますが、別途手当をもらうことができます。
たとえば失業手当の受給資格がある人の場合、失業手当をもらい続けながら職業訓練を受けることができ、さらに日額500円の受講手当(最大40日分)や訓練施設までの交通費なども支給されます。
一方、フリーランスや自営業、主婦の方など、雇用保険を受給できない求職者の方は、条件を満たせば月10万円の給付金が訓練期間中に支給されます。
公共職業訓練には、職業能力開発校やポリテクセンターなどで行われる「施設内訓練」と、スクールや専門学校などで行われる「委託訓練」の2種類があります。施設内訓練は先ほどご紹介した検索サービスですべて公開されていますが、委託訓練に関しては開講間際にならないと公開されないことが多く、マメにチェックしないと見逃してしまうので注意してください。
訓練というと一見堅そうに見えますが、ネイリストやエステティシャン、アロマセラピスト、ボディメイクインストラクター、Webデザイナー、キャリアカウンセラーの養成など、今どきの内容も数多く用意されています。
なお、ハロートレーニングには在職者向け訓練もあり、こちらの訓練期間は2日〜5日と短め。土日や平日の夜間に開講され、受講料は1万円以内に収まることがほとんどです。希望者はネットやハガキで申し込み、応募者が定員を超えた場合のみ抽選になります。
モノづくり、IT、医療・福祉といったジャンルは比較的全国で学べるものの、コースの数や内容はやはり都市部が充実しています。職業訓練は、自分の居住地だけでなく全国どこの都道府県でも受講可能なため、通える範囲で検索地域を広げてみてもいいでしょう。
これから新しいことに挑戦できるのであれば、Webデザインやプログラミング、CADコースは応用が利きやすいとも言えます。同時に資格取得も目指せるので一石二鳥です。
シニアになっても働きたいという方は、高齢でも求人数の多いビル・マンション管理人を目指してビル管理コースを選択したり、シニア求人は庭木の伐採などでも多いので、造園コースは仕事に結びつきやすいかもしれません。介護職員や保育士も働き続けることが可能な職種なので、40代以降の方におススメしたいコースです。
今回ご紹介したハローワークの職業訓練は、受講料もかからず条件を満たせば給付金を受け取れるのでとても人気があります。人気コースは倍率が2〜3倍になることも。そのため、面接なんて無理! と諦めてしまう方も多いと聞きます。
ただし、挑戦しなければ次のステップに進むことはできません。渋澤の友人でも、定年退職後に介護職員コースを受講して再就職した人もいます。4月入学のコースなどはちょうど今の時期、1〜2月に公開されることが多いので、ぜひチェックしてみてください。
構成/渋澤和世
取材・文/井手朋子
イラスト/Sumi
編集/佐野倫子
前回記事「あなたの夫は大丈夫!?意外にもパワハラ被害は40代男性が多数。ハラスメントに遭った時に知っておきたい救済制度」>>
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