猫と一緒に暮らす人にとっては、家族のように大事にしている猫と1日でも長く暮らせるのは幸せなことです。その一方で、猫も飼い主も年齢を重ねていくことになります。

それでも、猫とともに暮らしてきた時間はかけがえのないものですし、シニアになった猫だからこそ、愛着もひとしおです。そこでミモレでは、シニア猫(ここでは10歳以上と定義)と暮らす人たちのお話に耳を傾けてみようと思っています。

今回は、猫の親子を引き連れて再婚したあと、子ども猫たちに病気で先立たれてしまったくみこさんの物語。今は、17歳になった親猫と、新たに迎え入れた若い猫たちと一緒に暮らしています。年の離れた猫たちは、「3匹仲良し!」というわけではないものの、お互いのペースを保って穏やかな日々を過ごしています。

貴重なスリーショット。手前からべぇこ、レイ、くーちゃん(写真:くみこさん、以下同)
<飼い主プロフィール> 
くみこさん(50代)
夫と2人+猫3匹で暮らしている。離婚前にべぇことその子どもであるもんちゃん、はっちゃんの3匹と暮らしており、9年前に再婚した時に一緒に連れてきた。2019年にべぇこの子ども2匹を相次いで病気で亡くし、20年にくーちゃん、21年にレイちゃんを迎え入れる。美味しいものとお酒が大好き。
<同居猫プロフィール> 
べぇこ(17歳)
メスの黒猫。くみこさんが前の夫とアパートで暮らしていた時に、庭に出入りしていた猫の子どもとして生まれる。他の兄弟猫は里親が決まったが、べぇこは黒猫だったせいか引き取り手が見つからず、くみこさんの猫になる。その1年後、3匹の子猫を産み、1匹は別の人に引き取られ、残る2匹(もんちゃん、はっちゃん)と一緒に暮らしていたが、5年前に子どもたちに病気で先立たれる。もともと小柄で、最近は約3kg。


クーデリア(3歳)メスのサビ猫。くみこさんの知人のもとで誕生。たくさんの兄弟猫がいた中で、くみこさんの夫が「メスのサビ猫がいい」と決めてきた。お転婆で、ゴム毬のように飛び跳ね、よく遊ぶ。約5kg。愛称はくーちゃん。

レイ(2歳)オスの茶トラ猫。くーちゃんと同じ母猫から生まれ、くーちゃんの遊び相手として迎え入れられる。よくおしゃべりをする男子で、べぇこ、くーちゃんとコミュニケーションを上手に取ることができる。最近ちょっと大きくなって約6.4kgに。
 

前の夫と暮らしていたアパートは1階にあり、庭に面していました。野良猫が家の中にもよく出入りしていて、縁側に水やごはん、段ボールなどを置いていました。実は私はあまり猫が好きではなかったのですが、前の夫が猫好きだったのです。

 

ある日、そのうちの一匹が子猫を産み、外敵から守るためか、子猫をくわえて家の中に入ってきました。さすがにそのままにするわけにもいかず、子猫たちの里親を探して引き取ってもらったのですが、なかなかもらい手が見つからなかったのが、黒猫のべぇこでした。結局うちの子になったのですが、家の中と外を行ったり来たりしていたので、約1年後に、今度はべぇこが子猫を3匹産みました。1匹は他にもらい手が決まり、2匹はそのままうちで飼うことになったのです。

左から時計回りにはっちゃん、べぇこ、もんちゃん

この子たちがメスで黒猫のもんちゃんと、オスで白黒猫のはっちゃんでした。べぇこももう、子どもを産まないように手術をしました。実はそのあと、私は夫と離婚してしまいます。夫は猫好きだったのに、「自分は連れて行けない」と言われ、私が3匹を引き取ることにしました。

その後、私も再婚することになりました。実は今の夫は動物自体が好きではなかったのですが、私の猫なのでしょうがなく受け入れてくれた、という感じでした。一緒に暮らすようになり、私が猫たちに話しかけている姿を見て、「この人、大丈夫かな?」と思っていたそうです。でも、彼も猫たちと暮らしはじめてから、猫も人間の言っていることがわかっているということに気づいて、彼も話しかけるようになりました。

夫婦2人と猫3匹の生活は順調だったのですが、もんちゃんの具合が悪くなり、病院に連れていったところ、リンパ腫であることがわかりました。3ヶ月間闘病生活を送りましたが、2019年1月に亡くなってしまいました。すると、その直後にはっちゃんの糖尿病が発覚。インシュリン接種などの治療をはじめますが、次第にご飯が食べられなくなっていき、同じ年の8月にもんちゃんの後を追っていきました。

母猫のべぇこよりも先に、相次いでこの世を去ってしまったもんちゃん(写真左)とはっちゃん

私たち夫婦はもちろん、2匹の親であるべぇこがかなり落ち込んでしまい、食欲をなくしてしまいました。でも、すぐに「じゃあ別の猫を」という気持ちになれず、友人から、「知り合いのところで猫が生まれたよ」と声をかけてもらったものの、さすがにお断りしました。でも、元気がなくなってしまったべぇこのことを考えると、新しい猫を迎え入れたほうがいいのではないかと思うようになったのです。

 
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