そんな時、私に「猫が生まれたよ」といってくれた友人から再び声がかかりました。また子猫が生まれたというのです。黒猫、サビ猫、茶トラの兄弟猫がたくさんいたのですが、夫が選んだのはサビ猫のメス。その子がクーデリアです(愛称・くーちゃん)。個人的にはサビ猫ってどうなの? って思っていたのですが、生後2ヶ月くらいでうちに来て、飼ってみるとすごく賢いし、何よりかわいい! とてもお転婆で、ゴム毬みたいに飛ぶし、よく遊ぶ女の子です。くーちゃんがべぇこに遊んでほしくて近くに寄っても、べぇこは「ちょっと来ないで!」というような感じでしたが、次第に適度な距離感で暮らすように。
でも、10歳越えのシニア猫であるべぇこが相手だと、若いくーちゃんにとっては物足りないのでは? と思い、また同じ里親さんから猫を譲り受けることにしました。くーちゃんの1年後に同じ母猫から生まれた子猫で、今度はオスの茶トラにしました。この子がレイちゃんです。
レイちゃんはコミュニケーション能力が高くて、実の姉でもあるくーちゃんとは取っ組み合いの遊びをする一方で、べぇこともうまくやってくれています。べぇこも同じメスであるくーちゃんよりはレイちゃんの方がいいらしく、寒い時には自分からくっついてきています。
くーちゃんとレイちゃんは、べぇこがシニア猫とわかっているのか、手荒な真似はしません。逆にべぇこが急にスイッチが入って2匹を追いかけ回す時があるのですが、若者たちは決して反撃しないのです。
べぇこは以前、膀胱炎になったことがあるくらいで、その時以外は病気知らず。若い頃と比べてそんなに変わったという印象はありません。強いて言えば白髪が増えてきたことくらいでしょうか。
長いつきあいなので、べぇこの言いたいこともわかるようになりました。たとえば、ご飯を出しても全然食べないでジッと待っていることがあります。べぇこはご飯の好き嫌いが激しいので、「別のものを出せ」と主張しているのです。また、私たち夫婦の食事チェックも日課で、缶ビールを開ける音を合図に、食卓に来て一通り料理を見ます。これは自分が食べたいものがあるかどうかをチェックしているだけかもしれませんが……。
老猫べぇこと若者2匹はみんな仲良し! というわけではありませんが、いい距離感で暮らしています。多頭飼いの魅力は、なんといっても、ずっと見ていても飽きることがないところです。猫同士の関係性や、ちょっとしたやりとりが面白いのです。
猫はそもそもあまり手がかからないので、多頭でも大変だと思ったことはないですし、なんならもう1匹くらい増えてもいいのでは? と思ったりもします。本当なら、くーちゃんとレイちゃんを産んだ母猫の子どもがほしいところですが、もう出産をやめてしまったので、残念ながらその夢も叶いません。
べぇこは高齢なので、この先のことを考えることもありますが、心配してもしょうがないところはあります。今のところは元気なので、そこまで心配していません。猫たちを見ながら美味しいごはんを食べ、お酒を飲む。夜はべぇこたちと一緒に寝る。とても幸せだな、としみじみ思います。
イラスト/Shutterstock
文・編集/吉川明子
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