役者7人に届いた、劇団水滸による山荘での最終オーディションの招待状。”大雪が閉ざされた山荘での密室殺人事件”という設定で、山荘にいる間は彼らの言動すべてが審査の対象になるといいます。一人、また一人と消えていくメンバー。これはオーディションの一環なのか、もしくは本当に事件が起こっているのか。事件だとしたら犯人は誰? 次に消えるのは? 残されたメンバーたちは戸惑い、恐怖におそわれます。
映画『ある閉ざされた雪の山荘で』は公開から約1ヶ月経ちましたが、まだまだたくさんの人に観てほしい作品です。まだ観ていない方のために、おすすめポイントをお伝えします!
全員怪しい! アクの強い登場人物たち
東野圭吾の小説を原作に、約30年越しに映画化されたこの作品。キャストには今をときめく若手俳優たちが集まりました。以前別の作品で共演済みの人たちがほとんどということで、本人たちも撮影や合間の時間を楽しんだといいます。演技に定評のある人が多く、どんなやり取りを見せてくれるのか、観る前からわくわくします。
彼らが演じた役は、それぞれキャラが立っています。正直言って、この作品を観にいく時点で何か事件が起こるのはわかっているので、序盤は全員が怪しく見えてしまいます。まず主人公・久我和幸(重岡大毅)は唯一、別の劇団から参加した素性の知れない人間。一見無害でいい奴そうに見えますが、そういう人が犯人だった……という展開は今まで何度も見てきていますし、フレンドリーさも演技かもしれません。あえての演出でしょうが、たまに見せる真顔が恐ろしく思えてきます。
岡山天音演じる田所義雄は髪型といい結構といいしゃべり方といい、何かしでかしそうな匂いがプンプンします。逆にここまで怪しいと犯人ではないような気もしますが……。劇団トップ俳優・本多雄一(間宮祥太朗)も無害に見えますが、何か裏があったりするかもしれない、リーダー・雨宮恭介(戸塚純貴)もいい人そうだけど、こういう人が実はということもあるし、どんな背景があるかわからないし……、と、観ているこちらはもはや全員に疑心暗鬼。
観客といちばん近いポジションに感じる、素朴な印象の中西貴子(中条あやみ)、わがままで好戦的な笠原温子(堀田真由)、お嬢様・元村由梨江(西野七瀬)。この女子3人も一見仲がいいのかと思いきや、同室になった時の様子から温子と由梨江は水面下でバチバチしていそうだし、友達のように見える貴子と温子も、「貴子に決まっていた役が突然温子に変わったのは、温子が劇団のえらい人に枕営業したから」という噂話をきっかけに大げんか。誰かが誰かに、内心うらみを持ってもおかしくなさそうです。
どちらかというと「穏やかないい子」な役のイメージがある堀田真由が、かなりキツい温子を演じているのが新鮮でした。
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