「今」の積み重ねが、人生を豊かにする。

「今に夢中になろう!」

マインドフルネスとは、「今この瞬間、ここにいる自分」に意識を集中させている状態のこと。近年では、企業の研修に用いられることもある、瞑想を起源とした心のトレーニング法のひとつです。

例えば、意識が過去へ飛んだときは、かつての失敗やそこから生じる後悔に苛まれ、未来へ飛んだときは、起こるかわからない出来事への不安で、心が支配されてしまいがちだったりしませんか?

その一方で、“今”に意識を向けると、自分が存在しているこの瞬間が際立ってくる感覚が得られるはず。すると、過去や未来を漂流していた意識や、そこから湧いてくる不安、取り留めのない雑念も徐々に薄れてくるでしょう。その積み重ねによって、心の揺らぎやストレスに強くなる、集中力が高まるといった効果が期待できるようになります。

ここで見本を示してくれるのが、動物たち。よく「動物は今を生きている」と言うけれど、その根源にあるのは、今を生きるために必死だということです。猫もまた、目の前のことがすべてだと言わんばかりの振る舞いを見せることがあるでしょう。ご飯も遊びも全力で集中するし、心底気持ちよさそうにまどろむのは、過去や未来ではなく、今を存分に生きているから――。

もちろん動物は、ヒトとは違います。そもそも、思い悩んだりしないのかもしれません。ですが、彼らの「今を生きる」姿は、大いに参考になるのではないでしょうか。

過去の学びを活かし、未来をより良くするために備えるのはヒトが持つ素晴らしい能力です。だけど、もしもその時、心がツラい方向に流されそうになったら、今、自分がいる場所や、やっていることに意識を向けて大切にしてみませんか?

手のひらでコーヒーカップの温もりを感じる、好きなものを食べる、心地いい風に触れる、目の前のヒトとの会話に心を添わせるなどといった小さなことでも、心を今この瞬間にスッとフォーカスできます。マインドフルネスは、一瞬一瞬を満ち足りたものにし、さらにはその積み重ねが人生そのものを豊かにしてくれる方法でもあるのです。

「僕らが生きているのは、今なんだよ!」猫生をおう歌する彼らは、こんなことを教えてくれるのでした。

今日も、これからも、猫にならってマインドフルな日々を。

「マインドフル猫」は今回が最終回となります。ご愛読いただきありがとうございました。

 


マインドフル猫 人生をより豊かにする方法
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文・写真/高木沙織
編集/吉川明子
 

 

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