願うのは、ただ相手のこと


頭に浮かんできたのが、「ryuchellが今より楽に生きられますように」という言葉。もうひとつが、「家族が少しでも良いかたちで前へ進めますように」ということ。わたしの願いは、それだけでした。
(p167~168)

 


この本を読んでいると、本当にpecoさんは、何よりryuchellさんのことを本気で思っていたんだということが、痛いくらい伝わってきました。世間はpecoさんが可哀そうだとか色々言っていたけど、pecoさんにとって、ryuchellさんが苦しまないことが一番だったし、ryuchellさんの幸せがpecoさんの幸せなのだと思います。

また、世間で様々な噂が飛び交い、憶測が広がる状況に、困惑する心境についても書かれています。
 


そういう噂や想像で、わたしたち家族のことを語られることの方が、何百倍も悲しいことでした。(p186)
 
 


自分を貫いたからこそ起きた奇跡の出会い


また、本を読んでとても印象的だったのが、pecoさんのまっすぐ過ぎるryuchellさんへの愛と、ふたりの関係性。好きな映画、ファッション、趣味や感性、何もかもが驚くほど一緒だったふたり。pecoさんはryuchellさんとの出会いを「奇跡」と表現します。
 


もし2人のうちどちらか一方が、少しでも「人からおかしいと思われたら嫌だから、これくらいで我慢をしておこう」とファッションやメイクを周りに合わせていたら、わたしたちは出会えていなかったでしょう。同じ時期に原宿にいても、お互いの視界に入らないまま、ただすれ違っていたのかもと思うのです。(p128)
 
ryuchellとの出会いは「奇跡」、pecoが初エッセイ集で綴った世間で最も注目を集めた家族の真実_img0
写真:Shutterstock

ここを読んで、本当に素敵すぎる……と思いました。自分を貫くことは孤独だし、理解されないことがあるかもしれないけど、世界にたったひとり、なにより自分を理解してくれて、好きでいてくれる人がいる。それだけで、どれだけ強くいられるでしょう。そしてそれは、周りの目を気にせず、自分らしくいたからこそ生まれた出会いだったのです。