老人ホーム入居時に必要な持ち物
冒頭でも触れたように、老人ホームの広さは平均で17平米ほど。民間が運営するバリアフリーの賃貸住宅「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」でさえ、25平米未満の部屋が78.8%を占めています。収納も部屋の広さに応じてほとんどないため、ご自身の荷物をすべて持っていくということはできません。
そこである程度取捨選択する必要がありますが、入居時における必要な持ち物は、施設からもらう書類に記されています。施設や介護度によっても内容が異なるので、まずはリストを見て指定されたものをご用意ください。
一般的に共通して必要なものとして、日常的に使用する衣類や身だしなみの道具が挙げられます。
持ち物リスト以外のものの扱いは?
持ち物リストに記載されているもの以外は、必要な時にその都度家族が持参すれば問題ありません。「寒いからカーディガンが欲しい」「身だしなみのために手鏡が欲しい」など、本人から要望が出たり、状態の変化によって施設側から「このようなタイプが介助しやすい」と服の指定をもらう場合もあります。過剰に準備せず、徐々に揃えていくのが賢い方法です。
なお、カーペットなどを持ち込む場合は、防火指定のものを。火気類や刃物類などは持ち込まないなど、施設ごとに注意事項があります。細かい部分は施設の指示に従って揃えてみてください。
衣服やタオル、小物類などには必ず名前を書いてから持ち込みましょう。衣類はまとめて洗濯されがちなので、他の入居者のものと混ざってしまって紛失の原因になります。洗濯タグなどにペンで直接記載する方法やお名前シールの利用もおススメです。
■ 布に貼れるお名前シール
■ 洗濯タグに貼るコットンシール
化粧水や歯磨き粉などの日用品、消耗品にも、忘れず名前を書きましょう。
また、ポイントとして、本人の好きな色柄で統一して、そのことをスタッフに教えておくのもおススメです。「黄色と花柄は××さん」などヒントがあれば、他の入居者のものと混ざっても早く気が付けたり、確認できるようになります。
老人ホームへの引っ越しは、荷物の量によって家族のみで行える場合と、引っ越し業者などに依頼する場合が考えられます。
例えば、入居先に備え付けのタンスがない場合は、整理ダンスなどが必要になります。タンスが載せられるほどの収納力のある車や軽トラックが準備でき、搬入時もホームの床や壁にぶつからずに運べる人材が確保できていれば問題ありません。
最近は、老人ホームへの引っ越しを意識した高齢者向けパックを用意している業者もあります。こういったパックを利用すれば、トラブルもなくスムーズに介護施設への入居ができます。また、業者の中には不用品回収や退去時の掃除や片付けを行ってくれるところもあります。施設の入居時は基本的に荷物が少ないので、赤帽のような軽貨物運送業者による軽トラックを利用すれば、費用を安く抑えることができます。
同居の場合は必要な荷物がわかりやすいですが、別居の場合は荷物の取捨選択が必要です。不要な荷物は処分するか、トランクルームに預ける方法もあります。
なお、一度施設に入ってしまうと、最期の看取りという一時帰宅を除き、再び自宅に戻って暮らすのは難しくなると思います。入居時に余裕があれば、先々のことも考えて荷物を整理したいところです。
構成/渋澤和世
取材・文/井手朋子
イラスト/Sumi
編集/佐野倫子
前回記事「年賀はがきの書き損じ、不要になった切手・ハガキはどうすれば無駄にならない?」>>
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