年々やせにくく、太りやすくなってきた……そう感じる40代は多いかもしれません。加齢と共に代謝が落ちていくだけではなく、若い時に比べて活動量が減っているのも要因のひとつ。
「でも食べないダイエットは絶対に禁物。代謝を落としてさらにやせにくくなるだけではなく、やつれて老けた印象になってしまいます。また40代以降はホルモンバランスが乱れやすく、閉経後は骨粗しょう症リスクやコレステロール値が高くなる傾向に。食べないダイエットをすることで病気のリスクも上がってしまいます」と管理栄養士の岸村康代さん。
そこで実践したいのが食べ方を工夫する「食べてやせるダイエット」です。

「この時季、注目すべきは春に旬を迎える食材。春野菜は食物繊維やカリウムなど、冬に溜め込んだ脂肪や余分なものを排出する栄養素が豊富です。春に旬を迎える魚介類も栄養豊富で低カロリー。“やせる栄養素”がギュッと詰まった旬の食材で、健康的にやせませんか?」
この連載では8回に渡って、ダイエットのために取り入れたい旬の食材とおすすめの食べ方をご紹介。第1回目は「菜花(なばな)」です。

糖質・脂質を代謝させるだけでなく、血糖値コントロールも!

 

春の到来を知らせる野菜のひとつ、菜花はまさに今が旬のピーク。「たんぱく質以外の栄養素がほぼとれるほど栄養豊富で、特にカリウムは野菜の中ではトップクラス。カリウムは余分なナトリウムを尿といっしょに排泄するので、むくみ解消に有効です」と岸村さん。
ほかにも注目したい“やせる栄養素”はまだあります。

「代謝の栄養素といわれているビタミンB群も豊富です。ビタミンB1は糖質の代謝に欠かせない栄養素。アルコールの代謝にも関わるのでよくお酒を飲む方は積極的にとってほしいですね。そしてビタミンB2は脂質の代謝に関わる栄養素。つまり菜花を食べることで肥満の原因につながる糖質と脂質の両方の代謝が促されるんです」

そして腸内環境に働きかける食物繊維も豊富だそう。「食物繊維は腸活だけでなく、血糖値の急激な上昇を抑えることでも知られている栄養素。血糖値が急激に上昇するとそれを下げるためにインスリンというホルモンが分泌されます。インスリンは血中の糖分を脂肪に変えて溜め込む働きがあるので、大量に分泌されることで太りやすくなってしまうのです。ぜひ食事の最初に菜花を食べてください」

そのほか美容にうれしい栄養素もたっぷり含まれます。「ビタミンCはレモン果汁の5個分以上と、野菜の中でも王様級。ビタミンCはコラーゲン生成のサポートとなる栄養素なので、美肌には欠かせません。抗酸化作用のあるビタミンA、貧血防止のための鉄も豊富です」
ダイエット中に不足しがちな栄養素も補えるのは嬉しいですね。

 

おすすめレシピ① 30秒おひたし

 

菜花のメニューといえば、おひたしが最もポピュラーですが、「もったいない食べ方をしている人も……」と岸村さん。
「茹でる時間が長いとせっかくのビタミン、ミネラルが流出してしまいます。ベストは沸騰したお湯で30秒。最も抗酸化力が高く、栄養もおいしさも逃げないと、実験データがあります」。「卵とじ」など長時間火にかけるようなメニューの場合は、「汁ごといただく」のがベストだそう。

 材料(2~3人分) 
・菜花 1パック
A:だし 200ml (水 200ml+顆粒だし 小さじ1程度で可 *ゆで汁を活用しても!)
A:めんつゆ(3倍濃縮) 小さじ1

 作り方 
1 菜花は食べやすい大きさに切り、30秒塩ゆでしてざるなどに上げる。

2 1の水気を絞って、Aに漬ける。かつお節をのせるのもおすすめ。

 

おすすめレシピ② 菜花のペペロンチーノ

 

パスタではなく、菜花だけのペペロンチーノです。ニンニクといっしょに炒めることで“やせ効果”がアップするそう。「ビタミンB群は水溶性のビタミンなので、血中に長くとどまらず、尿といっしょに排出されてしまいます。ペペロンチーノで使うニンニクには、体内でビタミンB1とくっつき、血液の中に長時間留まるアリイン(アリシン)という栄養素が含まれます。一緒に摂ることで、菜花のビタミンB群を血液の中により長くとどめ、その分、長く代謝に働きかけることができます」

 材料(2~3人分) 
・菜花 1パック
・ニンニク 1かけ
・赤唐辛子 1本
・オリーブオイル 小さじ1~2
・塩、コショウ 適宜

 作り方 
1 ニンニクは薄切り、赤唐辛子は種を抜いて輪切りにする。菜花は食べやすい大きさに切る。

2 フライパンにオリーブオイルとニンイクを入れて弱火で炒める。ニンニクの香りがしてきたら赤唐辛子を入れて軽く炒め、菜花を加える。菜花に火が通ったら、お好みで塩コショウで味つけを。


“やせる栄養素”だけでなく、美容のための栄養素も豊富な菜花。旬はだいたい3月いっぱいです。今の時季だけの美容食として、ぜひ堪能してください。

岸村康代さん管理栄養士。野菜ソムリエ上級プロ。一般社団法人 大人のダイエット研究所 代表理事。ダイエット指導では2000人以上を成功に導き、落とした脂肪は合計10トンを超える。テレビをはじめとするメディア出演も多い。『きれいにやせる 食材&食べ方図鑑』(家の光協会)など著書も多数。


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構成・文/村田由美子