この度、21年間の子育てで気付いたことをまとめた『こどもも自分も一緒に幸せになる 育児育自論』(¥1760/A-works)を上梓した、モデルで経営者のMALIA.さん。前編では、子育て期の収入を支え、今やMALIA.さんの活動のメインを占める美容事業についてお話を伺いましたが、後編では本の内容についてさらに詳しくお話ししていただきます。

インタビュー前編
「3人の子を連れて離婚。あの頃は金銭的にめちゃくちゃ追い詰められていた」モデルMALIA.が語る、大ヒットコスメ&ブラジリアンワックス事業と子育て>>

 

昨年末、長男夫妻の間に初孫が誕生。義母として出産に立会い、晴れておばあちゃんに。

 

新保真里有(MALIA.)
モデル/経営者。1983年に神奈川県で生まれ、15歳でモデルデビュー。以後、多くの女性誌で活躍。カナダ留学を経て、19歳で結婚し、長男・海鈴さんを出産。その後、2人目の夫との間に次男・愛郁さん、長女・ありあさんを授かる。2009年に「Anela Inc.」を設立し、ブラジリアンワックスやアパレル、コスメなど幅広く事業を展開。現在はアラブ首長国連邦のドバイで生活し、三男・海緒くんの子育ての傍ら、経営者として手腕を振るう。昨年末、長男夫婦に第一子が生まれ、40歳にして祖母に。自身の子育てを振り返った『こどもも自分も一緒に幸せになる 育児育自論』(1760円/A-Works)を3月15日に発売。
Instagram @maliarehman

 


「ナンデ?」に向き合う“逃げない子育て”


前回のインタビューの際に、長男・海鈴さん夫妻の間に子どもが生まれるにあたり、‟お嫁ちゃん“への最初のギフトとしてこの本を送りたかったと話してくださったMALIA.さん。それは、海鈴さんを育てる上で学んだ「子育てにはタイムリミットがある」という教訓を、新米パパとママにまずは伝えたかったからだといいます。

「この話をしようとすると、涙が出てきてしまうんですが…長男がプロサッカー選手を目指して家を出たのは、わずか15歳のとき。セレッソ大阪の下部組織に入団するため、関西へと旅立つ前の半年間は、口ではうれしいと言いながら、子どもに隠れて毎晩泣いていました。小さい頃から目標を立て、それに向かって努力する姿を一番近くで見てきたので、きっとこの子は自立するのが早いだろうと思っていたけれど、ある日突然それが現実になると、『たった15年だったか…』とショックで。言葉では言い表せない喪失感でいっぱいになりました。お母さん業は大変だけれど、瞬間瞬間を見逃さず、些細なことにも向き合ってみようと思えるようになったのは、この経験があったからこそ」
 


髪の毛を振り乱して、心をすり減らして、そうやって過ごす“こどもと向き合える時間”は永遠に続くものじゃない。これこそ、21年間の子育て経験から一番伝えたいことです。
―どんなに大変でも、イラっとすることばかりでも、“その瞬間を楽しんじゃったもの勝ち”。
―01「子育てにはタイムリミットがあるということを常に意識する」より

 


子育て時間が有限だと知っているMALIA.さんは、どんなときでも直球勝負。子ども相手だからといって、ごまかさない。後回しにせず、疑問を持ったときに全力でそれに答える “逃げない子育て”を自負しているといいます。

「思春期に膨れ上がる『ナンデ?』が宙ぶらりんのまま溜まっていくと、それはいつしか大きな怒りに変わって行くことも。前編で触れた、性やお金に関するお話は、日本ではタブー視されていることが多いけれど、生きていくの必要なこと。特にお金に関しては、自分が経済的に苦労し、またそれを自力で乗り越えてきたからこそ、私の経験から話せることを話すようにしてきました」


お金を知ることは、人生の選択肢が増えること。
たとえば、一万円の稼ぎがあれば五百円のものも五千円のものも買える。稼ぎが二千円だったら五百円のものは買えても五千円のものは買えない、ということです。
お金の有無で、できることとできないことがある、その事実を知ると、自分の将来の収入もここに結びつけて考えられるようになります。
―10 「知っておきたいお金のリアル。」より

 
 

「金銭的な余裕はなくても、教育にはお金を惜しみませんでした。写真は、次男と長女でオーストラリアの短期留学に行かせたときのもの。現在、次男はニューヨーク、長女と三男はドバイの学校で勉強しています」(MALIA.さん)

けれど、いくら金言を授けたつもりでも、親が子どもに一方的に押しつけるだけでは、何の意味もありません。MALIA.家のすごいところは、親も子も“なんでも話せる関係性”を築いていること。だからこそ、きちんと親から子への言葉が届いているし、逆もまた然り。思春期の子どもに接したことがある親なら、誰もがその難しさを知っているだけに、どうやってそんな理想の関係を実現できたのかが気になります。

「それはもう、自分が一貫してオープンだったからだと思います。子どもたちが成長してから、急にそうなろうとしても無理。小さい頃から、ちょっと答えにくいという質問も、はぐらかさず答えていたら、今のような関係性になっていました。人に話すと驚かれますが、コンドームの存在や大切さについて教えたのももちろん私。また、『キスのとき、なんで舌を入れるんだろう?』という疑問も、親子で一緒に考えました。そんな家庭で育った結果、長女はこちらが照れてしまうくらい、赤裸々に恋愛話をするようになってしまいましたが!(笑)」

 
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