主に私立幼稚園・小学校のママに欠かせないネイビー服。特にお受験シーズンは、ネイビー服に身を包んだ親子を街でよく目にしました。

その姿をはたから見ているのはやはり上品な印象で微笑ましいですが、当事者にとっては細かいルールや面倒さも実は色々とあるよう。そして最近、すっかり定着したネイビー服に変化が起きつつあるそうです……?

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優雅な「ネイビー」のママたち


ネイビー服のママと、同じくネイビーの服、あるいは幼稚園や小学校の制服の子どもの親子。知人友人の親子や近所でもよくすれ違うことがありますが、上品できちんとした印象を持ちます。

映画『魔女の宅急便』で「黒は女を美しく見せてくれるのよ」という名ゼリフがありましたが、ネイビーも然りだと思います。よく見るとネイビー服にも様々なデザインや形があり、素敵なコーディネートに目を奪われることも。きっと早朝から家事をこなし、子どもと家を出るまでには様々なタスクが積み上がっているはずですが、ネイビーの服のママはメイクもきちんとされていてとても優雅、知的さも漂っています。

 

私自身は5歳児のママでありながら、息子はゆるめの保育園に通っているので、ネイビー服とは無縁。ほぼパジャマの上にダウンコートを羽織り、キャップを被って自転車にまたがるのが日常、かつ会社員も10年以上前に辞めてスーツすら持っていないので、ネイビー服にヒールを履いたママを見かけると「私にもこの優美な選択はあったのかな……」とふと思ったりします。

とはいえ、素敵に見えるママたちも当然ながら外見だけではわからない内情も色々とあるわけです。「好きで着てるわけじゃない、ただ学校で悪目立ちしたくないだけ」「基本がネイビー服だから、ネイビーに合わせて休日も地味な服になる」「自然とプライベートでも派手な服を買えなくなってしまった」……などなど。

ヒールで歩く姿は優雅ですが、実は私立の学校のほとんどは自転車や車、タクシーの送迎が禁止されており、公共交通機関と徒歩を使う選択肢しかない。またセミフォーマルのネイビー服にスニーカーを合わせるのももちろん微妙で、ヒール、あるいはせめてフラットシューズを履くことになるそうです。

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そもそも、なぜネイビー服なのか?


では、そもそもなぜネイビー服がこれほどママたちに定着したのでしょうか?

少し驚いたのですが、実は学校側から特に「ネイビーを着るように」と定めているわけでも、母親の服の色を制限しているわけでもないそうです。

とはいえ、「母親としての装い」「母親らしい装い」「華美ではなく」という文言は説明会などでたびたび出るそうで、ネイビーの上品な服を着るのがいわば暗黙のルールとなったのだとか。(ちなみに「黒」は弔事を連想させるため避けることが多いようです)子どものお手本である母親が、自分の外見に気を取られすぎたり、優先するのは基本的に良しとはされないので、送迎時のネイビー服にジュエリーを合わせることも滅多にないと知人に聞きました。

ちなみに「ネイビー」と調べると、英語では「海軍」という単語が出てきます。色の「ネイビー」は「ネイビーブルー」の略で、語源はイギリス海軍の濃紺の制服がきているんですね。警察などの制服にもネイビーが多いのは、威厳や品格、凛としたイメージを感じさせるから。その延長で、学校の制服やセレモニー時の母親の装いにもネイビー服が定着したようです。

たしかに納得です。「きちんと感」「品格」を出すのであれば、やはりネイビーの服を着るのが手取り早いでしょう。