侍ジャパン前監督・栗山英樹さんが今月、新刊『信じ切る力 生き方で運をコントロールする50の心がけ』を上梓しました。栗山さんにとって、人を信じるとはどういうことなのか、本から抜粋してお届けします。

誰かを信じるときに大切なこと。それは、見返りを求めないことだと僕は思っています。チームが勝ちたいから、この人を信じる、というのは順番が違います。信じる、が先にあるのです。
そうすると、信じていたことが間違っていなかったとわかったとき、それは自分にとっての大きな喜びになります。

結果が出ることは、信じている人が結果を出したというだけの話に過ぎません。
「信じて良かった。やっぱりそうだよね。お前の頑張りを見ていたからね」と思えるほうが、うれしいと僕は思っています。

信じてもらえたら、パワーは全開になるのです。しかし、そうなるには、信じる側が、本気で信じなければいけません。なんとなく信じている、ではダメで、信じ切らないといけない。それでようやく、相手は信じられていることに気づけるのです。
忘れてはいけないのは、信じること、信じ切ることは、自分のためではないということです。

 

この部分は信じ切る、と決める


一方で、会社で上司になったケースなどもそうですが、やみくもに人を信じることはしないほうがいいと思います。

ただ、信じてみないと信じていいのかどうかもわからない、というのは事実です。
また、信じた通りにはならないことももちろんあります。そうなったら、違う判断を下せばいい。

注意しなければならないのは、相手のせいにしてはいけない、ということです。こいつはきっと前に進むと思って信じた。あくまで、自分が信じたかったから信じた。この思いを貫くことです。

そして、いずれにしても、こちらが信じていない間は、相手はこちらを信じることはできないことも、知る必要があります。それが前提です。上司が信じてあげなければ、部下は上司を信じることはできないのです。

もし、会社のためにこの組織をなんとかしたい、こいつ自身をなんとかしたい、と思うのであれば、どこかで勝負をするしかない。そうでなければ、信じ合うことはできません。

 
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