こんにちは。ライターの小澤サチエです。2022年12月、ふらりと行った婦人科で「子宮頸がん」であることがわかりました。
子宮頸がんは30代後半〜40代での発症が非常に多いと言われています。迷いもありましたが、私の体験記を残そうと思います。
「広汎子宮全摘術」をしてから1年以上が経過した今は……
こちらの連載で記事を書くのは、昨年の秋以来。かなりお久しぶりです。子宮頸がんの手術や治療をしていた時期から約1年が経過したので、その後私がどう過ごしているのかをお伝えしたいと思います。
「広汎子宮全摘術」という手術をしたのが、昨年1月末の出来事。子宮や卵巣、そして卵管や膣壁の一部なども広範囲で摘出する手術でした。その後3月から4月にかけて、抗がん剤や放射線などのがん治療も行いました。
手術をして1年以上が経った今、どんな状態かというと……。
3ヵ月おきに大学病院に行って定期検診を受けてはいますが、それ以外は普通に仕事をして外出をし、友達と遊び、お酒も飲み、旅行もして、日常通りの生活を送っています。
長期の入院生活や治療によって失われた体力を取り戻すのは、思いの外時間がかかりました。それでも今はすっかり体力が戻りました。
昨年12月にはCTも撮りましたが、特に異常は見つからず、ほっと胸を撫でおろしました。こうやって1年、そしてまた1年……と何事もなく時間を過ごしていけたら、と願っています。
とはいえ、1年前に手術をした弊害が全くないわけではありません。
広汎子宮全摘術の際に、骨盤内のリンパ節も一緒に切除する「リンパ節郭清」を行いました。
リンパ節を摘出すると、下半身に浮腫が生じる「リンパ浮腫(※)」という合併症のリスクがあり、悪化すると、足が何倍にも膨れあがり、皮膚が象のように硬くなってしまうことがあると言われています。
手術から半年経った頃にもコラムを書いており、その時には軽度の浮腫が生じ始めたと書いたのですが、その症状が最近以前より悪化してしまったように感じています。
※子宮頸がんに対して行われる広汎子宮全摘術や準広汎子宮全摘術では、子宮周囲の骨盤内にあるリンパ節も摘出します。中でも足の付け根(鼠径部)付近のリンパ節を多く摘出すると、足からのリンパ液の流れが悪くなり、足側に鬱滞するため下半身に浮腫を生じ、これをリンパ浮腫と言います。リンパ浮腫の症状は個人差が大きく、短期間で改善する場合もあれば長期間に及ぶ事も。対策として、下肢の挙上、弾性ストッキング、リハビリテーション、手術などが行われます。近年では、浮腫を起こさないよう配慮した手術が行われるようになってきています。
同時に、卵巣を摘出した影響も出てきました。最初の頃は、生理や排卵がなくなった分、ホルモンバランスの乱れから解放され、毎月の不調がなくなった! かなり楽かも……! と思っていたのも束の間。
最近になって、卵巣欠落症状(※)と思われるホットフラッシュやめまい、コントロールできない感情の起伏、動悸など、更年期のような症状が立て続けに起こるようになりました。つい先日、漢方薬局に駆け込んだばかりです。
ですが、こんな感じでいろいろ悩みはありつつも、1年前にがん闘病をしていたなんて信じられないくらい、普通の毎日を過ごしています。昨年はとても辛かったけれど、今こうして元気でいられて、本当に良かった……!
※一般に50歳前後になると徐々に卵巣の機能が低下し、閉経に至ります。しかし、それより早い年齢に手術により両側の卵巣を摘出する事で卵巣機能が失われ、閉経することを外科的閉経と言います。卵巣から分泌されるエストロゲンという女性ホルモンの作用は多岐に渡るため、手術により急激にエストロゲンの分泌が低下することで全身に様々な影響を及ぼします。これを卵巣欠落症状と言います。
卵巣欠落症状には、一般的な更年期症状と同様ののぼせ、ホットフラッシュ、発汗、冷え、動悸、肩こり、頭痛、イライラ、不安、不眠、倦怠感などが含まれます。また骨粗鬆症も、自覚症状はなくても老年期の骨折の原因となり寿命に影響するため、エストロゲン欠乏により生じる重要な病態です。これらのエストロゲン欠乏による症状の改善のために、不足している女性ホルモンを補うホルモン補充療法が必要に応じ行われます。ホルモン補充療法では、内服治療の他に、皮膚に貼るシールや塗るジェルによる経皮投与が使用されます。
闘病中は絶望的な気分になることはほとんどなく、むしろ「がんになんか負けない! やっつけてやる!」というエネルギーに満ち溢れていました。そのためいろんな人から「前向きだね」と言ってもらえたのですが、実は年明けくらいに、ひどくメンタルが落ち込んだ時期もありました。
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