走ることで「気分が前向き」に
じつは走ること自体は、身体にとって一種のストレスとなります。走っている間はコルチゾールが放出されているからです。しかし、運動を終えた後には、コルチゾールの血中濃度は下がり、ストレスに強い状態へと変換されます。また、うれしいことに、次回のランニングからは、コルチゾール値の上昇幅が低くなっていくのです。
そのうえ、走ることで発生するマイルドなストレスは、体温を上げ、セロトニン・ドーパミン・ノルアドレナリンなどの神経伝達物質を分泌させます。それによって、脳の覚醒レベルが上がり、気分が前向きになります。
ランニングは、脳がつくり出す「ストレスがストレスを呼ぶ負の連鎖」を断ち切り、海馬をはじめとした脳の各部位を活性化させます。そして、身体的にも精神的にも健康な状態へと導いてくれます。
走りながら「マインドフルネス」
私はランニングを「動」の瞑想であると伝えています。瞑想とは、雑念を振り払い、心を平穏な状態にするため、頭の中をできるだけ空っぽ(無)にすることです。ヨガでは、静かに呼吸に集中する「静」の状態で瞑想状態を導きます。
この無の状態に導く手段の1つに、瞑想とは対極とも思われる「ランニング」があります。走っている時、特にレース中は、一歩一歩足を前に出すことのみに集中しています。意識が足とゴール地点にしかない、ほぼ無の状態です。
日常のランニングでも、たとえば、「風が冷たい!」「コーヒーのいいにおいがするな」「足が少し重いな」など、雑念から解放され、今起きていることに集中できます。
小さな心の反応ですが、日々の不安や雑念が消えて「今この瞬間」に集中する、マインドフルな状態にあるということです。マインドフルネスは脳の疲労を取り、集中を促し、幸福度を高めます。「動」の瞑想は効果絶大なのです。
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