お金を借りた人は、あらかじめ決められた期限までに元本を返済すると同時に利子も加えて支払わなければなりません。金利が上昇すると、借り入れの利子も上昇しますから、お金を借りた人はより多くの金額を負担する必要が出てきます。

ギャンブルや過剰消費でお金を借りているという人を除けば、私たちの身の回りでもっとも大きな借金はやはり住宅ローンということになるでしょう。今の日本では変動金利でローンを組む人が圧倒的に多数派なのですが、変動金利の場合、金利が上がると支払額もそれに合わせて増えてしまいます。

金利上昇で「トクする人」と「損する人」は? 17年ぶりの金融政策転換に私たちが備えておきたいこと_img0
イラスト:shutterstock

金利が上昇に転じたということは、変動金利でローンを組んでいる場合、今後、支払額が増える可能性が高くなったことを意味しています。

 

 
以前もこのコラムで取り上げたことがありますが、変動金利型住宅ローンの多くには、金利が上がった場合でも、支払額に反映されるのは5年目以降となり、1回の増額あたり25%しか支払額が増えないという緩和措置が組み込まれています。したがって金利が急に上がっても、明日から急に支払額が増えるということはありません。

しかしながら、最終的に支払う総額が増えることに変わりはありませんから、ローン終了時に足りない金額があった場合には一括返済する必要が出てきます。また、一定期間が固定金利で、その後、変動に移行する商品の場合、この激変緩和措置が組み込まれていないものが少なくありません。もしそのような商品だった場合、金利が上がった分だけ支払額がそのまま増えますから要注意です。

金利が上がった場合、変動から固定に切り替えることを検討する人もいると思いますが、変動金利商品の金利が大幅に上がった時には、固定金利はさらに高くなっている可能性が濃厚です。後になってから乗り換えを決断するのは事実上、困難であるという現実については理解しておく必要があるでしょう。

結局のところ、貯蓄や借金について、どちらかに偏らない家計の運営を行っていれば、金利が上がっても下がっても、お金の動きが大きく変化することはありません。これらはすべてに共通した大原則ですが、借金はほどほどに、一方でそれなりの貯金を持っておくというのが金利上昇時代においても王道ということになると思います。

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