猫と一緒に暮らす人にとっては、家族のように大事にしている猫と1日でも長く暮らせるのは幸せなことです。その一方で、猫も飼い主も年齢を重ねていくことになります。
それでも、猫とともに暮らしてきた時間はかけがえのないものですし、シニアになった猫だからこそ、愛着もひとしおです。そこでミモレでは、シニア猫(ここでは10歳以上と定義)と暮らす人たちのお話に耳を傾けてみようと思っています。
今回登場するのは、21歳11ヶ月になる黒猫のくろすけ(愛称ぽんさん)と一緒に暮らし、2015年からインスタグラムでその日常を発信しているKaoriさん。ぽんさんは慢性の腎不全と甲状腺機能亢進症という病を抱えていますが、ぽんさんの負担を第一に考えた治療を継続しつつ、穏やかな日々を送っています。
<飼い主プロフィール>
Kaoriさん(40代)会社員。小さい頃からの猫を飼いたいという夢を叶えたのが20代後半のこと。mixiの里親募集でぽんさんと出会う。黒猫なので、スタジオジブリの「まっくろくろすけ」から「くろすけ」と命名。2011年の東日本大震災を経てパートナーと同居をスタート。病気やコロナを乗り越えて2人と1匹で暮らしている。
<同居猫プロフィール>
くろすけ(21歳)2002年に東京・板橋区内で保護される。黒猫3兄弟のうちの1匹で、Kaoriさんの飼い猫に。「くろすけ」という名前だが、「くろすけぽん」「くろぽん」「ぽんさん」と、呼び名が変わっていった。2012年に腎不全が発覚、2018年に溶血性貧血で獣医師に「だめかもしれない」と言われるものの、奇跡の回復。2020年に甲状腺機能亢進症を発症。服薬を続けている。
母が猫アレルギーで、小さい頃は猫を飼うことができなかったものの、一人暮らしをするようになって猫を迎え入れられるようになりました。mixiでつながった保護主さんの家にお邪魔したら、生後約4ヶ月の黒猫3兄弟がいました。ぽんすけは一番やんちゃですばしっこく走り回っていて、「この子だ!」とピンときたのです。
ぽんすけを受け入れるために仕事を3日休んで、一緒に過ごすことにしました。でも、うちに着いたらすぐにトイレを済ませ、私の後をついてきて、膝の上に乗っかって寝てくれたのです! 猫は人馴れしない、という先入観があったのですが、あっという間に馴染んでくれたぽんすけを見て、やっぱりこの子とご縁があったのかなと思いました。
その後、私は何度も引っ越しをしたのですが、ぽんさんは環境が変わってもすぐに順応してくれました。ただ、2011年の東日本大震災のあと、当時付き合っていたパートナーと同居することになったのですが、同居初日はベッドの下から出てこず、そこで粗相もしてしまいました。
実は東日本大震災の日、私が仕事で不在だったため、帰宅できたのは深夜。ぽんすけは真っ暗な部屋で、不安な思いをしていたはず。その後、住環境が変わって、怖い思いをさせてしまったのかもしれません。でも、パートナーとは同居前から面識があったせいか、自然と距離が縮まっていきました。彼が酔っ払ってぽんすけを抱っこした時は怒られていましたが……。
ぽんすけは10歳くらいまでは元気で病気知らず。年1回ワクチン接種をしているので、そのときに健康診断をしていました。2012年のある日、獣医師から、「お水を飲む量が増えていませんか?」と聞かれました。この時、腎臓の数値があまりよくないことが発覚したのです。
そこで、腎臓の薬を飲むようになりました。その後、2018年には、急にぐったりして口からよだれが出るようになり、病院で検査をしたところ、溶血性貧血と診断されました。即入院となり、2週間にわたってステロイドの投与や点滴を行いました。この時、もうだめかもしれないと覚悟しました。獣医師にも、「入院して治療を続けるよりも、家に帰って家族と一緒にいたほうがこの子も幸せでは?」と言われ、ぽんさんを連れて帰宅しました。
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