「◯歳になんて見えない。若い!」「若見えファッション」……表面的な美しさとどう付き合っていく?
松本:最近、日本語もすごくいいなと改めて思います。日本語は話しながら、結論を変えられる文法で。だから逆に、私の友人は「会議中に、話し出して結論を途中で変える人がいる」と憤慨していたかな。「顔色を見ながら、どんどん変えていくなんて困る。結論を先に言ってよ」って。
最果:私は日本語の曖昧さを許してくれるところがすごく好きなんです。
松本:美容のお仕事をしていると、「◯歳なのにまるで見えない。若い!」みたいな言い方をつい使いがちなんです。表面的な美しさや言葉とどう付き合っていくか、私の中で今すごく大きなテーマで……。見た目とか表面的な美しさについてどう思いますか?
最果:昔は似合う、似合わないを考えすぎるのが嫌で、
松本:自分がOKを出すっていうのを忘れるから、苦しいのかな。最近、私は、「今日の自分に何を着せよう?」って考えています。そう思うと結構楽しくて。「今日はお疲れ顔だな」というのを少し視点を変えられたら面白いかな。
最果:そう思います! 今日は部屋に何の花を飾ろうかなと思うのと一緒かな。
松本:「今日の自分に何を着せよう」って考えていると、シワにも優しくなれる。ってまた、良いことの側面を見つける筋肉が働いているなぁ。
最果:洋服選びは、今が一番楽しいです。10代の頃は、「
最果 タヒ
1986年生まれ。詩人。2006年、現代詩手帖賞受賞。2007年、第一詩集『グッドモーニング』を刊行し、中原中也賞を受賞。映画化、個展、作詞、街とのコラボレーションなど、ジャンルを超えて活躍。最新詩集に『落雷はすべてキス』小説作品に『星か獣になる季節』、エッセイ集に『きみの言い訳は最高の芸術』、絵本に『ここは』(及川賢治/絵)、翻訳作品に『わたしの全てのわたしたち』(サラ・クロッサン/著、金原瑞人との共訳)等がある。
松本知登世
ビューティエディター、ライター。1964年鳥取県生まれ。 大学卒業後、航空会社の客室乗務員、広告代理店勤務を経て、婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社。 その後、講談社「Grazia」編集部専属エディターなどを経てフリーランスに。美容や人物インタビューを中心に活動。近著『もう一度大人磨き 綺麗を開く毎日のレッスン76』( 講談社)ほか、著書多数。
『顔は言葉でできている!』
松本千登世 著 ¥1540 KODANSHA
顔立ち:顔の形や作り、目鼻立ち/顔つき:気持ちを表す顔の様子、表情。
「時間を重ねるごとに、気持ちが顔の形になり、作りになり、目鼻立ちになり、持って生まれた顔が変化していく…。だから逆に意志の力で顔は作ることができる」という著者。
美容のプロである著者の気持ちを瞬時に変えたひと言を、イマジネーションを刺激する写真を添えて、ストーリーとともに綴っています。何気なく話す言葉、聞く言葉、かけられる言葉、目にする言葉の中に、あなた自身の顔つきを育てる「宝物」を発見できるようになる1冊です。
画像制作/森京子
文/藤本容子
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