ミドル世代女性の「薄毛」はどうして起こるのでしょう? 女性と男性の薄毛は違いますか?


――妊娠、出産、ストレスなどがきっかけの抜け毛もありますが、今回はmi-mollet読者のお悩みを考えたく、「40代以上の女性の薄毛」をテーマにお伺いいたします。40〜50代女性の薄毛の原因を教えてください

浜中先生(以下、浜中)
一番大きな原因は加齢によるホルモンバランスの乱れ(女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量減少)、血流量の低下生理機能の低下です。その他の原因としてストレス、寝不足や質の高くない睡眠、日焼けや頻繁に行うパーマやカラーリングによる髪のダメージ、そして、無視できないのは長年同じ分け目にしていたり、強く髪を引っ張るヘアスタイルです。

――女性と男性の薄毛はどう違うのでしょうか

浜中
男性は男性ホルモンの減少によって、頭頂や額など部分的な場所から薄毛が進行していきますが、女性の場合、加齢にしたがって髪が細く、柔らかくなり、髪や頭皮が乾燥して、気づいたときにはかなり髪の密度が減っている「びまん型脱毛症」が多いです。また、男性と同じくホルモンバランスの乱れにより頭頂部や前髪が特に薄くなる「女性男性型脱毛症(FAGA)」も起こります。

ミドル世代女性にとって「薄毛」は当たり前の現象!? 発毛治療専門クリニックに【薄毛の基礎知識】を聞いてみました_img0
びまん型
ミドル世代女性にとって「薄毛」は当たり前の現象!? 発毛治療専門クリニックに【薄毛の基礎知識】を聞いてみました_img1
FAGA

――毛が生えない毛穴からは、もう髪は生えないものなのですか。毛穴は死滅しているのでしょうか。

浜中
毛のサイクルは成長期、退行期、休止期というサイクルを経て毛が抜け替わります。加齢とともにその休止期が長くなり、1つの毛穴から生える毛の数が3本から2本、そして1本、と減少し、生える髪のクオリティもダウンするので、結果的にボリュームが減っていきます。毛穴は死滅したように思えますが、毛が生えなくなった、というよりも、毛穴の活動が加齢により鈍化して休止期間が長くなっているのです。毛母細胞が生きている限り毛穴が死滅することはほとんどないので早めの対応や予防は意味があります。ちなみに生まれたときから毛穴の数は決まっていて、植毛するしか毛穴を増やす方法はありません。
 

 


どうしたら薄毛は改善するのでしょうか


――ずっと薄毛と付き合わなくてはいけない、となると、少しでも改善する方法を知りたくなります。どうすればよいでしょうか?

浜中
まず、生活習慣を見直す。バランスの良い食事、良質な睡眠、適度な運動、ストレスを溜めないこと(喫煙は百害あって一利なし)。これがすべての基盤です。コーヒー、紅茶といったカフェイン類は止めるとストレスになるので適量であれば大丈夫。
そのほか、以下のような対策がおすすめです。
・髪質や頭皮に合った製品(シャンプーや育毛剤)を使うこと
・現在の髪質に合わせたヘアスタイルにする
 (若い頃に褒められた髪型を続けたいという気持ちはわかるのですが加齢で髪質は変わりますのでクセを活かしたり、薄いところをカバーするスタイルなどに変えてみてください。)
・分け目を変える、髪を常に引っ張るヘアスタイルをしない
・早めにクリニックを受診して適切な治療を受ける

――自分に合ったシャンプーや育毛剤、というのはどう判断すべきでしょうか。ブラッシングで育毛というのもよく聞きますがいかがですか。カラーリングにヘナを使うとかは?

浜中
頭皮が痒くならないとか、ブローしたあとの髪がサラサラするとか、自分が使って心地よいかどうかの判断で十分です。ノンケミカルを使わなければいけない、など厳密な縛りはありません。ブラッシングはシャンプー前に絡まった髪をほどき、頭皮の汚れを取れやすくするという意味ではお勧めしますが、頻繁なブラッシングは切れ毛や静電気の原因になったり、頭皮を痛める原因にもなるので要注意。パーマやカラーリングはダメージではありますが、それを禁止することによってストレスが生じるならば本末転倒。1ヵ月に1回程度の頻度ならば大丈夫です。
ちなみに当院では提携しているヘアサロン(ヘアメディカルサロン)があり、シャンプー、カラー、パーマから髪型まで髪の問題を抱える方のご相談にのることが可能です。当院の患者様でなくてもご利用いただけます。