前回は「薄毛治療の現状」についてご紹介しました。今回は、最新の髪事情に詳しい美容家、伊熊奈美さんに「自宅でできるケア」について教えていただきます。「ホームケアは、育毛、発毛につながる頭皮を育むために大切」と再認識。日々のコツコツ努力は決して裏切りません。

【40代の薄毛問題】日々の努力は決して無駄じゃない! ホームケアで土台を整えれば、育毛、発毛につながっていく_img0
 


お話を伺ったのは……

伊熊奈美(いくま・なみ)さん1972年生まれ。美容エディター、ライター。日本毛髪科学協会 毛髪診断士指導講師、国際毛髪皮膚科学研究所 毛髪技能士。20年以上に渡り、女性誌を中心に美容分野の記事を編集、執筆、監修。各メディアや講演を通じ、現代のスキンケア理論と毛髪科学に基づいたヘアケアメソッドを伝えている。美容関連企業のマーケティング、コンサルティングなども幅広く行う。著書に『いい白髪ケア、やばい白髪ケア』(小学館)、『脱 白髪染めのはじめかた~でもいきなりグレイヘアは無理!』(グラフィック社)がある。
Instagram:@namiikuma_hairista
 

――ドクターへの取材で、発毛には「ミノキシジル」が現状では最も有効だと伺いました。高齢化社会で薄毛に悩む男女がどんどん増えていますが、毛がぐんぐん生えてくるような、画期的な医療の進歩はもう少し先のようですね。少しでも発毛、育毛していきたい私たちにとってできることはなんでしょうか。

伊熊さん(以下、伊熊)
ミノキシジルで薄毛治療をしながら、不規則な生活の見直しや、毎日の頭皮ケアで毛髪が生えやすく育ちやすい環境を体の内外から育てていく二段構えの対策が大切だと思います。
薄毛は確かに遺伝や加齢が深く関わっていますが、だからといってあきらめるのは早いです。薄毛にならない頭皮の環境づくりに気を配っていくことで、総合的に高得点を目指すことだって可能ではないでしょうか。ポイントはバランスのよい食生活、十分な睡眠をとる、運動してめぐりの良い体を作る、ストレスを溜めない……などの習慣ですね。現代の生活では難しいことも多いですが、全部一気にできなくても大丈夫。薄毛治療のほうの効果が出てくると「次は運動を始めてみようかな」と楽しみながらできると思います。自分でできることからひとつずつ、始めてみるのが良いと思います。

――以前教えてくださった「シャンプーしながら頭皮ケアは時短かつ簡単に継続できるケアでした。その他伊熊さんがおうちでやっていることはありますか。

伊熊
私が毎日必ず自宅でしているのは、ブラシを使ったマッサージです。
なぜ血流を促すかというと、血液から供給される栄養や酸度がなければ、髪が十分に成長できないから。よくマッサージで血流を促すと強く太い毛になるといわれますが、実際に研究機関などでも検証結果が出ているんですよ。短時間で効率よく血流を促すブラッシングテクニックがありますのでお伝えしますね。

細毛や薄毛の悩みが最も出やすいのは頭頂部ですよね。毛細血管しかないために構造的に血流不足になりがちなこの部分に血流を送りたい。そこでまずは肩まわりのこりをほぐし、めぐりやすい状態にします。次に側頭部や後頭部といった太い血管があるところを頭頂の毛細血管に血流を運ぶようにブラッシング、最後に頭頂をブラッシングすると効率的なんです。この方法を行うと上半身全体がポカポカしてきますよ。