ではここで、一般的なフォーマルドレスアップに大切な4つのポイントを紹介します。


ポイント① 黒は、盛装において最も高度な色

黒は無難な色、と思っている人は多いかもしれませんが、実は真逆。ましてや、黒を華やかな場で着こなすとなればかなり高度です。

本来黒という色は主張がある色で、代表的なのが喪ですね。英国の故エリザベス女王が黒をお召しになるのは、喪に関連した場のみだったし、今でこそ寛容にはなりましたが、ダイアナ元妃が婚約後初めてのパーティーで黒のイブニングドレスを着用し、チャールズ皇太子が眉をしかめたという話しもあるほど。

また、一部例外はあるものの、日本でも女性アナウンサーの人たちが全身黒を着用することも基本的にはありません。また、日本には「黒子」と呼ばれるプロの裏方の存在がありますが、これもあくまでも存在を隠す、ということが目的であり、表に出る人とは異なります。

それほどまでに、強い印象と意味を含む黒という色を、お洒落にカッコよく、ましてやフォーマルな場やレッドカーペットで華のあるスタイルにするには、カラーのお洋服以上に難しいのです。

真美子さんのブラックファッションは、同じ黒でも異素材が重なり、透け感で華を出したデザインであったところはとても素晴らしいチョイスでした。

これは私の勝手な提案ですが、もしあのデザインで白であったなら、初々しく爽やかで、より真美子さんにピッタリだったのではないかと推測します。加えて、お隣に立つ大谷選手とも、白黒でリンクしたモノクロコーデで、シンプル好きのおふたりらしいスタイリッシュなスタイルになったのではないかと思います。
 

 


ポイント② 華やかと派手の違い

“黒を選びがち”という理由の裏には、色=派手、覚えられやすい、といったイメージがあるかもしれません。ですが、ひと口に色と言っても、ヌードカラーのようにナチュラルな色もあれば、ピンクと一口に言っても、くすんだ色、パステル、ビビッドカラーと様々です。

とかく“派手“というのが美徳とは言い難い日本なので、派手にはならず、華やかには見えるスタイルの違いをお伝えします。そのキーとなるのが、これらの4つの項目の強弱。

●色が「鮮やか」or「 抑えめ」
●丈が「短め」or「長め」
●露出が「多め」or「 少なめ」
●デザイン性が「強い」or「シンプル」

例えば、
色が「鮮やか」、
丈が「短め」で
肩、脚など露出が「多め」、
デコラティブでデザイン性が「強い」。
4つの条件がすべて備わったドレスなら、もはやセレブのレッドカーペットかMETガラ以外はNGかも? といったレベルの派手さとなり、まさに派手なファッションの完成。

でも、上記のうちのどれかひとつだけを残し、ほかの3つは正反対のもの(控えめ方向に)にすれば、私達日本人が好む、適度な華やか&上品スタイルになるでしょう。
 

ポイント③ どこか1箇所だけ露出する

フォーマルな場、またはドレスアップをする場合のルールとして、欧米では肩や腕など、上半身を中心に露出をするのが基本と言えますが、私達日本人にはなかなか慣れないもの。しかし、品よく華も出せる方法として、身体のどこか一部分だけ出す、というのであれば、頑張れそうではないですか? 

その部位としては、こちらの4つのいずれかが最適。

肩、腕、脚、背中 (お腹はNG)

お洋服がカラーであれば、露出面積が小さくても華やかですが、黒である場合には、面積は広めが望ましいということになります。色を選ぶか、それとも黒で露出を選ぶか(笑)。

自分の身体の中で、1箇所出すとしたら、どこがベターであるかを把握することはドレスアップする際の洋服選びに役立ちます。

しかし最後に一つ、要注意ポイントとして、パートナーが、露出NGの場合は、それを優先すべし(笑)。あくまでも、愛するパートナーから賛成、または「美しい」とお褒めの言葉が出る場合にのみに有効事項です。
 

ポイント④ どこか1箇所、ゴージャスなポイントを作る

露出するのに最適な4つのパーツのどれにも抵抗がある場合や、真美子さんのように、全身ブラックスタイルに仕上げる場合に重要なのは、どこかにアクセントとなりうる色、もしくはゴージャスなものをプラスするということ。

大谷翔平夫人「真美子さん」の初ガラ・ファッションをスタイリストが考察。さらに素敵に見せるにはどうすればよかった?_img0
写真:ZUMA Press/アフロ

例えば、最もわかりやすいのはジュエリーですね。真美子さんの首元には、シンプルな一連のチェーンタイプのネックレスにフープ型のピアスが、絶妙なバランスとサイズ感でマッチしています。

そして私が最も感動したのは、口紅! ブラックコーデに、赤味のあるピンク系の口紅がとてもお似合いです。これが、この日の真美子さんファッションの華やかアクセントになっていました。
また、実はサンダルからのぞく、ペディキュアも赤なんです。口紅の色よりもダークで、大人っぽい真紅をチョイス、というところにお洒落センスを実感です。

ほかにも、ドレスや洋服にビジューなどの装飾が施されていたり、ビジュー付きの靴や、ハイヒールを履いたりするだけでも一気に華やかさがアップします。