短歌を詠むと、日常に潜む偶然の価値を知る

ーーその靴下や洗濯機をまた違うものに例えたら、静かな怒りを込めた、すごくアーティスティックな短歌になるかもしれませんね。

坂口:かもしれないですよね。やっぱりそれを聞く方は、憎しみじゃなくて愛おしさを感じると思うんです。

ーー短歌にすることでちょっと自分を俯瞰できるっておっしゃっていましたけど、短歌を詠むって、怒りをそのまま残すんじゃなくて、自分からちょっと一旦引き剥がして、ドロドロぐちゃぐちゃしたものを乾かすっていうことなのかもしれないですね。

坂口:本当に。だからもう自分の心の安定剤みたいなものです。

「短歌にすれば、怒りも嫌な感情も愛おしくなる」坂口涼太郎が実感する、日常を文章にすることで生まれる変化_img0
写真:Shutterstock

ーーこれから短歌に挑戦するよという方に、メッセージをお願いいたします。

坂口:作ってみていただいてもいいし、読むのも楽しいです。本当にフラッと書店の短歌コーナーに行って、パッて歌集を開いてみるとか、そういう出会い方でいいと思うんですよね。
なんでこんなに素晴らしい偶然がいっぱい起こるの、偶然ってすごいやん! っていうのが、僕が短歌を読んでいて、すごく心に沁みいるように感じることです。例えば、このインタビューを読んでいただけているのもすごく偶然じゃないですか。どんなことが起きても人生って面白いなって思える。短歌って、そういうものかなーと僕は思います。みなさんもよかったら手を出してみてください。


文・構成/ヒオカ
 

 


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特に、さまざまな人生経験を重ねてきた女性たちの歌には多くの共感の声が寄せられ、また生き方を見つめるヒントがたくさん詰まっていると話題を呼んでいます。
 
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「短歌にすれば、怒りも嫌な感情も愛おしくなる」坂口涼太郎が実感する、日常を文章にすることで生まれる変化_img1
 

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