「いちご白書」をもう一度? 全米に広がるガザ攻撃への反対デモと、1968年当時の“皮肉な共通点”とは_img0
5月11日、米カリフォルニア大学バークレー校の卒業式で小規模なデモが発生。少人数の親パレスチナ派デモ隊が旗を振りながらスローガンを唱えた。暴力行為や警察との衝突はなかったことから、式典は予定通り行われた。写真:AP/アフロ

全米の大学で、イスラエルによるガザ攻撃を非難するデモが続いています。一部では逮捕者が出る事態となっており、1960年代の名画のひとつである「いちご白書」の再来と指摘する声も出ているようです。米国の若者の間で何が起こっているのでしょうか?
 

 


イスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃したことをきっかけに、イスラエルはガザ地区に対する大規模な報復攻撃を行っています。この戦闘でガザでは多くの市民が亡くなっており、女性や子供も犠牲者の中に多く含まれていることから、国際社会の一部はイスラエルを非難しています。一連の戦闘に関して米国政府は一貫してイスラエルを支持しており、イスラエルに対する各種支援も継続している状況です。

多くの人が知っていると思いますが、イスラエルはナチスによるユダヤ人迫害などをきっかけに、行き場を失ったユダヤ人たちが米国政府の力を借りて作り上げた国です。

イスラエル建国の際、現地に居住していた多くのパレスチナ人たちが追い出されることになり、これが現在のパレスチナ問題の発端となっているわけですが、米国政府はユダヤ人に対する迫害を二度と繰り返さないようにするとの立場から、一貫してイスラエル支援を続けてきました。

イスラエルにはイスラエルの言い分があり、パレスチナにはパレスチナの言い分があるわけですが、イスラエルは米国の支援を背景に強力な軍隊を保有しています。一方、パレスチナは、長年、イスラエルによる占領下にあり、多くの市民が困窮しています。今回の戦闘では病院なども空爆され、多くの子供の命が失われました。

米国はイスラエル建国を支援した国ですし、国内にも多くのユダヤ系米国人がいますから、当初はハマスに攻撃されたイスラエルに同情を示す声が多く聞かれました。ところがガザ地区に対するイスラエルの報復が激化するにつれて、学生らを中心にイスラエルを非難する声が高まっている状況です。

特にZ世代と呼ばれる若者は人権や社会正義への関心が高く、一部の学生は米国政府がイスラエルによる非人道的な行為を積極的に支援しているとして激しいデモを行っています。

全米各地の大学で激しい抗議デモが発生したのは、1960年代後半以来の出来事といってよいでしょう。

当時はベトナム戦争に対する反対運動であり、今回はイスラエルのガザ攻撃に対する反対運動という違いはありますが、社会正義という観点から学生が激しく反発しているという点ではかなりの類似点があります。

 
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