お仕事帰りに同僚と。大切な家族や友人と。
心からおつかれさまと伝えたい日のレストランを厳選してご紹介します。

日本橋は和の老舗が軒を連ねるイメージが強いけれど、実は、会社帰りにふらりと立ち寄れる気軽で優秀なフレンチが次々登場しているんです。


路地裏のビストロは、ベルギーフレンチの新星
クゥイエット・デュ・ブーケ(三越前)

牛ホホ肉のベルギービール煮込み カルボナー
ドフラマンド¥3250。フランドル地方の郷土料理で、1本半ほどの黒ビールで煮込む。

気をつけていないと通りすぎてしまう、路地裏のビルの2階にあるベルギーフレンチの店。シェフはベルギーで4年間修業を積み、帰国後はベルジアンビアカフェ「アントワープ セントラル」の総料理長を務めた住友健一郎さん。ベルギーに魅了された理由を「洗練さより、伝統的なフレンチが持つ、ほっとする安心感のある料理がおいしかった」と語るとおり、ベルギー各地の郷土料理はどれも飾りのないおいしさ。牛ホホ肉のベルギービール煮込みは、大きなココット鍋でドーンとやってくる。2人でシェアしてもお腹いっぱい。サラダも皿からこぼれんばかり。「ポーションもベルギー流なんです」と住友さん。同僚と気取らず、お腹いっぱい食べたい時に。

旬の魚の白ワインヴィネガーマリネ¥780。生の魚をハーブで香りをつけた白ワインでマリネ。本 場ではニシンの酢漬けの薫製で作ることが多いという。魚の下にはナスとトマト、ズワイガニのサラ ダが敷いてある。野菜は朝採りの東京野菜と、実家から届く野菜を使用。ベルギービールと。
季節の貝を白ワイン蒸しにしてハーブと黒コショウ風味¥1550。貝は時期によってムール貝やアサリ、ハマグリなど。セロリと黒コショウを効かせているのが、ベルギースタイルのワイン蒸しなのだそう。(季節による)
一周年を迎えたばかり。 自宅のある西日暮里から、勤務地 だった丸の内にバイクで通っている時、住友さんの印象に残った街が日本橋だったという。

【クゥイエット・デュ・ブーケ
東京都中央区日本橋本石町3-2-5 マレ本石ビル2F tel. 03-5203-8040 営業時間:11:30~13:30LO、17:30~22:30LO 休日:日 テーブル20席 個室1室 ランチ¥1100 ディナーはアラカルト中心 冷前菜は各¥650~、ベルギービール¥1100~、グラスワイン¥800~(すべて税込)

女性シェフが開いたセンス抜群のブラッスリー
ル・スーヴニール(日本橋)

シードルチキン(季節による)鶏とりんごの旨みが溶け込んだソースも、バゲットで残らず拭いたくなるおいしさ。

「ワインと料理でも、ケーキとコーヒーでもいい。ひとりで気軽に立ち寄れるブラッスリーが作りたかった」。国立の「グリオット」で23年間、洋菓子を作ってきた葛西由利さんの、そんな念願が叶った店だ。メニューを開くと、ケーク・オ・サレに根セロリのサラダ、ハニーチキン……と、何気ないけど頼みたくなる料理がずらり。シードルとりんごの甘さがごちそうのシードルチキンは、仏ノルマンディーのカルヴァドス県で出会った料理を、大山地鶏で作ったもの。フランスの地方の、レストランで試した数々の皿を、“私ならこう作る”と葛西流に再現したのが、ここの料理。どれもセンス抜群で、ショーケースに並ぶケ
ーキともども全制覇したくなる。

  • 前菜盛り合わせ¥1500。あえてキメを粗めに仕上げた3種のチーズのケーク・オ・サレ、根セロリのサラダ、キャロットラペ クミン風味をひと皿に。(季節によって材料は異なる)
    紅玉りんごのガレット¥1800。コンポートとキャラメリゼした2種のりんごが、シナモン風味のシャンティクリームとよく合う。
「料理が楽しくてしょうがない」と話す葛西さん。この日も築地で仕入れた食材の仕込みで大忙し。今年からは、料理とお菓子の教室もスタート。
ひとりで食事したいお客さんも入りやすいアットホームな雰囲気。

【ル・スーヴニール】
東京都中央区日本橋2-2-16 共立日本橋ビルB1 tel. 03-3231-7808 営業時間:11:00(ランチ14:30LO)~22:00LO 休日:日・祝 テーブル22席 カウンター8席 ランチ¥1000~ ランチタイム以降は、終日アラカルトで料理がオーダー可 グラスワイン¥700(すべて税込)

このページは、女性誌「FRaU」(2011年)に掲載された
「おつかれレストラン」を加筆、修正したものです。
撮影/神林 環 文/齋藤優子 構成/藤本容子