② 『東京タワー』耕二(松田元太)の場合


耕二は、透の恋よりもタチが悪い。なぜなら、手綱は自分が持っているものだと思い込んでいるから。純粋に恋に落ちた透とちがい、耕二はただ年上の女に興味があっただけ。身近にいたのが、家庭教師先の主婦・喜美子(MEGUMI)だっただけ……と最初はそんな感じだったのに、だんだんとのめり込んでしまっています。


耕二は喜美子のことを“無邪気”と言うけれど、本当に無邪気なのかは大いに疑問です。正直、交際相手の由利(なえなの)の方が無邪気じゃない? と思いますが、彼視点だと違うのでしょうか。同世代の女の子のように「わたしだけを見て」とか、「先のことをしっかり考えてよ」とか、そういった面倒くさい考えがなく、ただ“今”だけを見つめている感じが、耕二からしたら無邪気に見えるのかもしれません。

ただ、喜美子には家庭があります。いくら自分の方が立場が上だと思っていたって、捨てられるのはきっと耕二。貴美子は、耕二に主導権を握らせてあげている……というよりは、そう見せておいて、実は自分が握っているのが年上女性っぽいですよね。年齢差があると、「舐められたくない!」とか変なプライドが邪魔をすることもないから、年上女性も純粋に恋を楽しめるのかもしれません。
 

 


③『9ボーダー』朔(井之脇海)の場合


新米会計士の朔が惹かれたのは、上司の六月(木南晴夏)。ドラマを観ていない人は、「仕事ができるところに惹かれたんだろうなぁ」とか「しっかりしている人が好きなのかなぁ?」なんて思うかもしれませんが、朔が恋に落ちたのは六月の“脆さ”に触れたから。経営者として、いつもシャンと胸を張っている六月が、実は夫の不倫に悩まされていて、ひとりで苦しんでいたり、涙をグッと堪えているところを見ていくうちに、朔は彼女を“支えたい”と感じるようになったんだと思います。

年上女性と付き合う男性って、“甘えたい”とか“支えられたい”とか、そういった願望がどこかにあるんだろうなと勝手な固定観念を抱いていましたが、真相は違っていたのかも。朔のように、年上の“脆さ”を見たときに恋に落ちる人って、案外多いのかもしれません。


ただ、朔が透や耕二と違うのは、“年下男子”っぽいところ。透は詩史と同等になるために頑張っていて、耕二は自分がリードしていると思い込んでいる。しかし、朔は六月が上司なこともあってか、最初から下であることを認めています。同じ年の差カップルでも、その中身はまったく異なるのが面白いですよね。『東京タワー』も『9ボーダー』も、まだ中盤! それぞれのカップルがどのような結末を迎えるのか、とても楽しみです。
 

アラフォー女性は「無邪気なところ」が魅力?ドラマ『東京タワー』『9ボーダー』から分析する、年上女性に年下男性が沼る瞬間とは_img0
 

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