歳をとったら美魔女かババアの二択?!

若いときは「若いね」で済むけど、歳を取ったら異様に美しい美魔女かババアみたいな選択肢しか用意されていなくて、過剰に褒めるか不当に年齢や見た目のことでけなされるかの道しか待ってなくて、「普通の40歳」っていうのは、ないんだろうかと思い始めた。(『40歳がくる!』より)


ここを読んだとき、わかるうううううっと、腹の底に響きました。ネットには「ババア」という言葉が溢れていて、なぜかババアと言えば女性の自尊心を傷つけられる、一発パンチでダメージを食らわせられる必殺技と思われている。なんでそんなに歳をとっていることが引け目を感じることみたいになっているのか不思議です。誰だって生まれた瞬間から老いていくのに。芸能人の見た目を褒める主旨の記事で、「20代にしか見えない」「奇跡の50代」みたいな文言をよく目にしますが、4~50代に対して「20代にしか見えない」って果たして褒め言葉なのか、謎です。年相応で美しいって絶対にあるはずなのに。

 

『40歳がくる!』の中には「『女の年齢』ってものに、いつまでつきあわされるんだろう?」という言葉が出てくるのですが、これも深く刺さりました。この社会って、普通に生きているだけで、「女の価値は若さ」みたいな強迫観念めいた刷り込みをされる気がするんです。自分が放っておいてくれと思っても、世間がわざわざ「お前はもう若くない」「身の程を知れ」と耳元で言ってくるんですよね。たまに窒息しそうになります。

40代を過ぎると仕事が減る?美魔女かババアの二択?若さ礼賛主義の社会で考える年齢を重ねるということ_img0
写真:Shutterstock


「若い女性」に向けられる加害欲


若さゆえに不当に見下されたり、若い女であるがゆえに迫害されてきた不自由が、波を引くように去ってゆき、代わりに自由がどんどんやってくる。最高の気分だ。誰だかわからない世間の視線みたいなもののために自分を歪めたりしなくていいし、そんなことをしようという発想すら溶けてなくなる。(『40歳がくる!』より)
 

一方で、若いがゆえに、性的な目で見られたり、セクハラを受けることが減って、楽になった、これは本当によく聞きます。ネットで、女性が何か言うと、「相手にされなくなったおばさんのひがみだ」みたいなことをすぐに言う人がよくいますが、変に性的な目で見られたり強引にアプローチされたりするのって、恐怖でしかなくて、そういう“得体の知れない加害欲”みたいなものから解放されるって、いいことでしかないと思うんです。若い女性というだけで、日常的にナメられて加害されて、なんでこんな目に遭わないといけないの? みたいなことの連続で。もちろん年齢を重ねてもそういうことは完全にはなくならないでしょうが、ひとつの生きづらさから解放されるのは大きなことである気がします。