「40代になると仕事がゆるやかに減る」という定説
そして2冊目は、『50歳になりまして』(光浦靖子、文藝春秋)。
人気芸人として名を馳せる中、50代にしてカナダへの留学に挑戦し、人生を全力で謳歌する姿が話題となる光浦さん。留学するために仕事を整理し、家を引き払った矢先、コロナ禍に見舞われ、路頭に迷うことになった過程を描いたエッセイです。
こちらも、年齢を重ねて生まれる変化が赤裸々に綴られています。
40代に入った頃からかな? 仕事がゆる~りと減り始めました。テレビの世界に入って、一度も手を抜いたことはありません。なのに減るのです。流行り? 運? 好感度?
私は独身です。旦那も、彼氏もいません。わかりやすく私を必要としてくれる人が側にいません。年齢に比例して増えていく休み、そりゃ不安になりますよ。長い夜思っちゃいますよ。「私は誰にも必要とされていない」と。
(中略)
私は、この世界の物差ししか持ってなくて、仕事がない=価値がない、としか思えなくなってしまいました。自分に満足するもしないも、他人の評価でしか決められない。(『50歳になりまして』より)
「40代になると、ゆるやかに仕事が減る問題」。もちろん人や職種にもよりますが、フリーランスの間では本当によく聞く話です。どんどん若い人が参入してきて、目まぐるしく入れ替わっていく。仕事を発注してくれる人がどんどん年下になっていく。
でも、光浦さんは常に超人気者のイメージなので、この問題とは無縁の方だと思っていたんです。でも、やはり栄枯盛衰の激しい芸能界。波が引いていく感覚はやっぱりあるんですね。
独身と既婚のコントラストがクッキリする年代
そして、仕事と同時に直面する大きな問題が、独身・既婚問題。20代の私ですら結婚・出産ラッシュで「周りに取り残されていく」感覚を存分に味わっていますが、4~50代ともなると、生き方の違いが如実に現れてきますよね。
結婚もそう、出産もそう、ほとんどの同級生はできたのに、なんで私にはできないんだろう。(『50歳になりまして』より)
もちろん、どっちがいいとか悪いとかではないと思います。でも、独身の、誰にも必要とされないのかなって思う感覚、めちゃくちゃわかるんですよね。自分のために使う時間や自由は溢れるほどにあるけれど、誰かのために人生を使っている人が、羨ましくなったりする。人間って本当にないものねだり。
いくら結婚するのが当たり前という価値観が揺らいできたとはいえ、やっぱり結婚する人がマジョリティで、ドラマの主人公も当たり前に結婚する。独り身は可哀想、惨めみたいな価値観から、いつになったら完全に解放されるんだろうって、考えたりします。
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