年々増すこうあるべき、を脱ぎ捨てる
でも、そういった孤独や仕事への不安が、光浦さんが留学を考える契機の一つにもなったようで。
仕事も友人も住む場所も、「世界はここだけじゃない」を知ったら、どれだけ強くなれるんだろう。私はそれを知りたいのです。(『50歳になりまして』より)
人間って、やっぱりここしかないと思うと追い詰められていきます。何歳になっても、いままでの常識を捨てて、まっさらな状態で挑戦できるし、自分で自分の生きる場所を選ぶことができる。そう思えたら、生きる勇気がわいてくる気がします。
カナダでモテたいんだ。一回、人生で一回、恋愛をしてみたいんだ。泣いてわめいたり、喧嘩して、憎むくらい人を好きになってみたいんだ。
(『50歳になりまして』より)
雨宮さんも、光浦さんも、「自分の欲望や願望に素直になる」努力をしているのが印象的です。年齢を重ねると、自然と周りからの圧が強くなって、がんじがらめになって、自分の本心が濁ってしまうのかもしれません。一度、周囲の声をシャットアウトして、自分はどう生きたいのか? どうありたいのか? に耳をすませる。その作業が、ミドルエイジには必要なことなのかもしれません。
年齢を重ねるからこそ得られる豊かさ
私は、ミドルエイジの人と関わるようになって、年齢を重ねるって、いいことだなって思うことが増えました。若いうちは、何もかもが不安で、ミスに怯えてビクビクしてしまう。でも、ミドルエイジの人って、経験を重ねているからこそ、どーんと構えられる余裕があるんです。「なんとかなる」精神って、経験を重ねないと持とうにも持てません。
あと、ライターをしていて、自分の知識や積み重ねた知見の足りなさに限界を覚えることが少なくありません。何かの問題について意見を求められたとき、年上の人は何十年も前の出来事と比較したりして意見を言えたりする。20代なんて、ものごころついてから見てきた時代はわずかしかありません。昔との比較なんてできないんです。もちろん文献などで補うことはできますが、いろんな時代を体験しているって、財産だなあと強く思うのです。
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