病めるときも…?


けれど麻衣さんは、夫と面と向かって話すと決めたときから、同時にしばらく実家に避難することも決めていました。実は夫に内緒で、1カ月ほどは実家で暮らせるよう事前にご両親の許可を得て、荷物もこっそり実家に送っていたそうです。

「離婚話をしたうえで夫と一緒にいたら、束縛がさらに悪化したり喧嘩になったりして、息子を怖がらせてしまう心配がありました。だから実はこのとき、家の外で私の親に待機してもらっていたんです。引き止める夫を振り切って、無理やり家を出ました

これまで散々夫の束縛に耐え抜き、しかし限界に達して現状打破を決めた麻衣さんの意思の強さが伺えます。そしてその原動力は、やはり息子さんを思う母性だったのだと思います。

ちなみに事の顛末を告白したとき、麻衣さんのご両親は「離婚しなさい」と即答し、全面的に娘の味方になってくれたそう。

「離婚して実家で暮らしていいと両親が言ってくれたので、だいぶ気は楽でしたし、このときは離婚しようと思っていました。でも……さすがに怒ったり、またおかしな行動をするだろうと予想していた夫が、ひたすら謝罪を繰り返していて、心が揺さぶられました。離婚という言葉に彼はかなりショックを受けたようで」

妻の外出を阻止すべく“救急車”を呼んだ夫。度を越した束縛に、離婚を考えた妻の意外な選択_img0
 

夫は麻衣さんの実家を頻繁に訪れたり、電話やLINE、また手紙などでもひたすら謝罪と反省を延々と伝えたそうです。

当初、麻衣さんは「夫の性格が変わることはない」と思っていましたが、しかし夫の様子を見て、次第に「一度だけ修復を目指してもいいかもしれない」と心変わりしたと言います。
 

 


「親にも事情を知った友人にも、夫の元に戻ることは反対されました。私は一応仕事もあるし、両親も健康なんだから、また窮屈で辛い生活をすることはないと……。

すごくすごく悩みました。たしかに、贅沢をしなければシングルマザーでもやっていける。でも父親の存在は小さくない。でも一緒にいたらきっとまたストレスもある。でも、そもそもストレスが全くない結婚生活なんてないはず

『でも』を頭の中で無数に繰り返した結果……綺麗事かもしれませんが、『健やかなるときも病めるときも、慰め助け、真心を尽くす』、誓いの言葉を実行するタイミングは今なのかもしれないと思ったんです