——改正前は、どのような法律だったのですか?

これまでは、短時間勤務は3歳になる誕生日の前日まで、看護休暇は6歳の誕生日の含まれる年度の3月末日までで、1年間に最大5日などとなっていました。

つまり、健常児の育ちを基準としていたものだったのです。障がいのある子や疾患のある子を育てている私たちのような親は、これだけの短時間勤務や看護休暇だけでは、とても足りません。保育園に入園できても受け入れ時間が制限されてフルタイムでは働けなかったり、平日に療育や病院などに連れて行かなければならなかったりするからです。

「これで仕事を続けられる…」障がい児・医療的ケア児を育てる親たちを救う「改正育児・介護休業法」、その重要な改正ポイントとは?【障がい児を育てながら働く⑬】_img0
下校後にお友達と過ごす放課後等デイサービスで毎月開催される子どもたちのお誕生日会で、うれしそうにマイクを握る娘。すでに娘は高校2年生。卒業後は、放課後等デイに相当する居場所がなく、午後4時前後には親が生活介護の事業所の送迎バスが停車するポイントに迎えにいかなくてはなりません。どうしたらいいものか、今から頭を抱えています。

——健常児の育ちを基準にした法律しかなかった状況下で、親の会のメンバーの方々は現在、どのようにして仕事を続けているのでしょう?

今まさに、それぞれの勤め先で短時間勤務の延長を交渉している人もいれば、「今の法律には書いていないから」と言われたり、暗に退職をほのめかされたりしている人もいます。

 

勤め先の育児・介護の両立支援制度を使い果たし、改正法の施行に一縷の望みを託して休職に入った人もいれば、すでに失業してしまった人もいますし、今にも失業しそうな人も……。

今後、わが子をどうやって養育していったらいいのかと考えると、苦しくて眠れない夜を過ごす人たちが大勢いるんです。