日常で感じる「ちょっとした違和感」について井戸端会議していくこの連載。ウェブマガジン「ミモレ」とその読者コミュニティ〔ミモレ編集室〕に寄せられた皆さんのモヤモヤエピソードをご紹介していきます。
今日ご紹介するのは、中間管理職のモヤモヤエピソードです。
部下と話すのが苦痛
エピソードをお寄せくださったのは、経理部で課長になって3年目だというワカナさん(43歳・会社員)。
中間管理職になって3年目、20代から30代まで計6名のチームを率いています。
営業みたいに数字に追われる仕事ではなく、毎月決まったルーティンを間違いなく進めていくのが仕事のゴール。上にガンガンプレッシャーをかけられて、部下との板挟みになる……というストレスとはほぼ無縁です。
あまり大きな声では言えないのですが、一番のストレスは「部下と話すこと」。
私はもともと「コミュニケーション力があるね」と評価されてきていて、管理職になったときにも「自分がグイグイみんなを引っ張っていくより、部下一人一人の話をしっかり聞いてあげる調整型のリーダーになろう」と思っていました。部下たちも業務のベテランが多いので、私は彼らの話をたくさん聞いてあげて、全体を調整したり後方支援したりするのがちょうど良い感じです。
人と話すことは好きですし、このスタイルは自分に合っていると思っていたのですが、部下の愚痴をずっと聞いているのがこんなにしんどいとは。
話好きのメンバーが多いのも原因の一つだと思います。子育ての愚痴・パートナーや義実家との関係についての愚痴・感情的過ぎて建設的ではない職場の愚痴……。「そんなことまで聞いてあげなきゃいけないの?」と思ってしまうような話もとても多いんです。私は職場で誰にも愚痴を言えないのに……。
聞かされていると私も気が滅入るし、問題解決できずに悶々とするし。「これは私の仕事なのか?」と自問自答してしまうのですが、「1on1ミーティング(上司と部下の一対一の対話を定期的に持つこと)」「心理的安全性の確保」「エンゲージメント調査(社員が職場に愛着を持ち、熱心に働けているかをチェックすること)」などなど、職場では「部下の気持ちに配慮しましょう」という雰囲気が増すばかり。
このままでは、部下たちと一緒に働くことが本格的に苦痛になりそうで怖いです。
「なんでも聞いてくれる優しいリーダー」の密かな苦しみ
職場でモヤモヤを抱えたときに、いつでも優しく話を聞いてくれるリーダー。ワカナさんが目指し、実践されてきた上司像は部下の皆さんにとって「心理的安全性」を確保してくれる大切な存在なのだろうなと思います。
そしてワカナさんがお寄せくださったモヤモヤ話は、そんな「なんでも聞いてくれるリーダー」の舞台裏。そうですよね、上司だって人間です。ずっと愚痴や不満を垂れ流しされて、平気なわけはないですよね……。本当にお疲れ様です。
管理職になると急に誰もケアしてくれなくなり、愚痴を言えなくなる。そんな現象に悩み苦しむ人は多いのではないだろうかと想像します。ヒラの社員から、より「会社(経営)側」に移ることになるので、その人個人の思いを押し殺さないといけない場面が増えるのかもしれません。
部下たちのために職場環境を整えるのが上司のつとめ。愚痴や不満、時には雑談を聞くのも、その業務の一環。ワカナさんもそんな風に自分に言い聞かせて我慢を重ねているのだろうなと思いますが、どうぞ無理し過ぎないで。ワカナさん自身「これは私の仕事なの?」と感じているように、管理職だからと言ってなんでも引き受ける必要はないはずです。
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