アプリの台頭、結局有利なのは恋愛強者
世代・トレンド評論家の牛窪恵さんによると、「婚姻件数や婚姻率(人口千対)全体を見てもマッチングサービスがその数や割合の増加にさほど貢献していない」(『恋愛結婚の終焉』(光文社より引用)のだそう。
マッチングアプリで結婚まで至れるような男女は、もともと恋愛や結婚の「積極層」に多く、たとえアプリがなくても、いつかは誰かと出会えていたのではないか、と想像できます。
(『恋愛結婚の終焉』(光文社)より引用)
とあるように、いわば元々の恋愛強者が、恋人を作るまでの時間をショートカットする効果はあれど、消極層を後押しする効果は限定的と言えるのかもしれません。
また、近年では、経済的弱者が結婚に不利な状況が加速しているようです。
昨今の未婚率の高さは、雇用形態や年収の「格差」と強く結びついています。30~34歳で既婚の男性は、「正規(雇用)」では6割ですが、「非正規」では2割しかいません。同じく、30~34歳の「年収」と未既婚との関係を見ても、年収500~599万円では既婚が7割超にのぼるのに対し、同200~299万円では4割弱にとどまります。
(『恋愛結婚の終焉』(光文社)より引用)
男性に限らず女性自身も、未婚段階から「年収200万円にも満たない自分は、きっとこの先も結婚できない」や「非正規(雇用)だから、どうせ異性との出会いもない」など、結婚に後ろ向きなケースも目立つのです。
(『恋愛結婚の終焉』(光文社)より引用)
年収が低いと、もう初めから自分はお呼びでない、と思うわけですよね。そういう人にとって、アプリに登録する=立候補するってとてもハードルが高いことだと思います。
格差シャッフルが起こらない!
また、昔は違うバックグラウンドの人同士が結婚していたけれど、最近では似たもの同士で結婚するようになった状況も指摘されています。
昭和の高度経済成長期~バブル期ぐらいまでは、結婚によって「格差のシャッフル」が起こりやすい環境でした。例えば、高卒や短大卒などのいわゆる高学歴とは言えない女性でも、東大や早稲田、慶應卒の高学歴男性たちと職場恋愛をしたり、周りからの紹介で結婚できたり、というケースも一定数存在しました。
でも今は、男性も女性も、自分たちと同じような学歴や生活レベルの相手でないと結婚したがらないんです。
(「格差シャッフル」が起こらなくなった日本。恋愛・結婚格差はなぜ起きているのか?【牛窪 恵さん】)
経済的弱者がパートナーを見つけづらい状況は、アプリの台頭でより加速していくんじゃないかと思います。例えば、アプリで相手の条件は「年収400万円以上」と設定したとすると、本当はめちゃくちゃ気が合ったかもしれない「年収200~300万円」の人ははじかれてしまう。もう最初からないものとして扱われるんです。なんだか世知辛い世の中だなあと感じざるをえません。
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