大門坂は昔ながらの雰囲気を色濃く残した石畳の参詣道。近くには、平安時代の衣装を借りられる場所もあり、衣装に身を包んで写真を撮る方もいらっしゃるのだとか。
大門坂の入口を入ってすぐにある夫婦杉は、なんと樹齢800年!
夫婦杉のすぐ先には「多富気王子」。九十九王子の中で、最も那智山に近い王子社跡です。古の人々は、多富気王子まで辿り着いて「いよいよ那智山がすぐそこに……」と、さぞかし心を震わせたことでしょう。
大門坂は約650mにわたり、風情のある石段の参道が続きます。
ひたすら階段が続きますが、語り部さんがところどころ休憩を入れ、熊野についてさまざまな説明をしてくださるので、息が上がるようなことはなく、風景を楽しみながらゆっくりとしたペースで、登っていくことができます。
森林の新鮮な空気を深呼吸して、肺の奥まで送り込みながらの山歩きは、都会暮らしにはこの上ない贅沢。マイナスイオンたっぷりで、はぁ……気持ちいい。ひたすら歩くことに集中しているうちに、日頃頭の中によどんでいるゴチャゴチャとした考えや、思いや記憶の残滓のようなものが、すっと浄化されていき、空っぽになるような感覚が。
人間、歩くって大事……、そんなことをしみじみと感じます。歩くことさえできれば、陸が繋がっているところならどこへでも行けますもんね。
……と、かれこれ2時間近く歩いたところで、急に視界が開け一般道へ出ました。平成の世から令和の現世へ戻ってきたかと思ったら、もうそのすぐ先が熊野那智大社でした。
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