30歳を過ぎて再婚はできない。それは女にとって不幸?
「まずは、やはり私の父親ときちんと話し合いをしました。結婚させたかったのも、元夫を誰より気に入っていたのも父なので。
そのとき父は相変わらず、『30歳を過ぎたお前はもう再婚はできないよ、そんな人生、不幸じゃないか?』と何度も言っていました。父は心から本気で『結婚=女の幸せ』と信じていたんです。
でもこのときは怯まずに、私にとっては愛のない結婚生活を続けるほうが不幸だとはっきり伝えました。再婚しなくてもシングルマザーでも、娘さえいれば私は幸せ。だから娘と2人で幸せを見つけていくと」
美保さんの気持ちと意思を理解したお父様は、今度はなかなか離婚に応じない元夫の窓口となり、『何もいらないから娘を解放してやって欲しい』と話し合いを重ね、結婚から約2年半、ついに離婚が成立。
実際、金銭的なものは何も発生しなかったそうですが、娘さんの親権は美保さんのものとなり、最後は穏便な形で結婚生活を終えることができたそうです。
「誤解があるかもしれないので、最後にお伝えさせてください。
私の結婚の不幸や、痛々しい性生活の原因は、両親が直接的な原因ではなかったと思っています。性に厳しく育てられたことに問題はあるでしょうが……。
でも私は、不自由ない生活どころか贅沢な暮らしをさせてもらってきました。父も母も、思春期の悩みや学校や友だちとのトラブルも私と向き合い最優先で解決してくれる、いつも子どもの味方で愛情溢れる親なんです」
そんなご両親だからこそ、美保さんは過去に交際した男性からの身体の誘いも強気に断ることができ、「自分の身体は大切なもの」「価値があるもの」として、結婚前まではむしろ自信を持っていたそうです。
「両親が私に注いでくれた愛情には、心から感謝しています。だからこそ、そんな父と母に恩返しをしたい、喜ばせたいという気持ちで元夫と結婚しました。
でも、私が理解してなかっただけなんです。ただ私に幸せになって欲しいという両親の思いがわかるからこそ、両親が示す道なら幸せになれるはずだと思い込み、自分の気持ちを無視してしまった。私が最初から『これはちがう! 幸せじゃない!』と、きっぱり言えばよかったんです」
美保さんの口調からは、一貫してご両親との深い愛情が伝わっていました。美保さんの辛い結婚は、皮肉なことに、お互いを幸せにしたいという強い気持ちから起きた悲劇なのかもしれません。
「家族愛が強すぎたことで不幸な選択をしてしまいましたが、でもおかげで、私にとっては条件よりも愛が大事であることがよくわかりました。これは人生において大きな、大事な収穫だったと思っています」
離婚後、美保さんはしばらく実家で過ごしましたが、数年後に娘さんと2人で再び東京に戻り、得意な語学を生かして職を得ました。シングルマザーで大変なことは多々ありながらも、充実した生活を送っていたそうです。
そして実は現在、美保さんはお父様の予想を裏切り、なんと再婚を果たしました。そして今の夫ともお子さんを授かり、家族全員円満で暮らしています。
彼女が今幸せを掴むことができたのは、様々な経験から彼女にとって優先すべきことは愛だと理解したこと、また娘さんと2人であっても幸せになるという強い覚悟ゆえなのかなと予想します。
また後日談として、一筋縄ではいかなかったという再婚のお話も伺う機会があればと思っています。
美保さんの幸せな生活を、今後も心から応援しています。
写真/Shutterstock
構成/山本理沙
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