私は3匹のメインクーン男子たちと幸せな生活を送っていて、インスタグラムに彼らの写真をよく投稿していました。ある時、フォロワーさんから、「平蔵くん、やせましたか?」というDMが届きました。私は毎日接しているせいか、変化にあまり気づいていなかったのですが、言われてみればそんな気がすると思い、動物病院で検査をしてもらいました。

平蔵は毎年の健康診断で、獣医師さんに「健康優良児! パーフェクト」と言われていて、つい2ヶ月前にもそう言われたばかりでした。しかし、検査結果は悪性リンパ腫。健康診断からほんのわずかの間に腫瘍ができていたのです。泰蔵が命を落とした病気に平蔵もかかってしまったため、本当にショックでした。抗がん剤治療で一時期は腫瘍が消えたのですが、また再発。2020年に13歳でこの世を去ってしまいました。

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りりしい表情を見せる平蔵。健康診断はいつも問題なしだったのに……。

私は泰蔵の悪性リンパ腫が発覚した時、どうしていいかわかりませんでした。当時、手は尽くしたつもりですが、「もっと泰蔵のためにいろんなことができたのでは?」と長年悔やむことになりました。そこで、再び迎え入れた3匹の猫たちが7歳に差し掛かる頃、「この子たちに介護が必要になった時、ちゃんとお世話をしたい」と思い、ペットシッターの勉強をして資格を取ったのです。

 

平蔵が悪性リンパ腫で闘病していた時期は、折しも新型コロナウイルスが感染拡大した時と重なっていました。非常事態宣言が発令され、私はほぼ自宅で仕事をしていたので、その分、甘えん坊の平蔵にずっと寄り添うことができました。なので、平蔵が亡くなってしまったことは本当に悲しかったのですが、「やれるだけのことはやった」と納得することができました。

子猫の頃は病気ばかりで大変だった、平蔵の弟分でもある影元は、「長くて8年」と言われていたのに、今や平蔵の年齢を越えて15歳に。まさに「猫の寿命は神のみぞ知る」です。私は泰蔵や平蔵を看取り、特に泰蔵の時は精神的に堪えた経験があったため、猫を亡くして悲しみを抱えている人は多いのではないかと思うようになりました。こんな時、猫を亡くした人同士で集まって、猫さんの自慢や思い出話ができたら、少しでも心が癒えるのではないかと考えたのです。

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Fさんにいろんなことを教えてくれた、初代猫の泰蔵。

知り合いの臨床心理士に相談したところ、協力してもらえることになりました。そして、ボランティアで知り合った、保護猫カフェ「ネコリパブリック東京池袋店」の店長さんのご厚意で、定休日の夜のお店を集う場所として提供いただけることになったのです。こうして2022年から「うつせみ猫語り会」という会を始めました。毎月1回、木曜日の19時半からゆる〜く続けています。「もう猫を飼うことができない」と悲しみにくれていた方が、ここで話をするうちにネコリパブリックさんの保護猫の里親になるなど、新しい一歩を踏み出しています。保護猫カフェ利用料として、参加費をいただいていますが、これは保護猫たちのご飯代や医療費になります。