人気YouTubeチャンネル「GOROGORO KITCHEN」のMamikoこと井筒麻三子さんが、パリでの家探しや新しい暮らし方を綴ります。

我が家のお引越し話の前に、ちょいと訴えたいことがある。この国、特にパリでの家探しが、超絶大変であるという件だ。

かなり微妙な物件でさえもすぐ入居者が決まると言われるほど、パリは慢性的に物件不足。良い物件ともなれば、当然ながら争奪戦になる。そんな状況下だと、二人とも外国人で仕事はフリーランス、フランス人の保証人もいないという三重苦な我が家は、通常の物件探しレースのスタートラインに立つこともできないことがほとんどだったりする。

パリでの家探しが壮絶すぎる…フランス人との仁義なき不動産バトル【井筒麻三子】_img0
オスマン建築の上層階だと、エレベーターなしの6階(日本の7階)で、トイレ&お風呂共同なんて部屋も多いのですが、それでも決まるところは決まる。

需要と供給のアンバランスさに加えて、入ったもん勝ち詐欺(勝手に命名)が横行していることも、困難さに拍車をかけている。語学学校時代、そういった詐欺についてのドキュメンタリーを観たことがあった。店子は、入居を決める前までニコニコ優等生顔だったのに、いざ家に移ると態度が豹変し、全く家賃を払わないまま居座ったという。

大家さんは毎日その家まで赴き、ドアを叩いては「家賃を払って下さい」とお願いするが、店子は「子供を育てるのに精一杯で払えない」と言い張る。家賃収入がなくなってしまったため、クレジットカードも止められてしまい、自身の家の天井がボロボロになっているにも関わらず、それを修繕することもできない……。そんな大家さんの苦悩に密着するという内容だった。

 

何これそんなことあるの〜?! と当時は思ったものの、その後知り合いの友人が同じような目にあった話を聞いて、入ったもん勝ち詐欺はレアケースでないのだと確信した。彼の友人の場合は、カナダで就職が決まり、自分の家を貸し出したところ、店子が家賃未払いのまま居座ってしまった。このままではまずいと思ったその友人は就職を蹴って(!)パリに残り、家を24時間監視。店子の生活習慣を調べ上げ、この日この時間は絶対に誰も家に人がいないと確信した時間に家に突撃。鍵を換え、中にある家財道具を一切合切貸し倉庫へ移し、家を奪還したのだそう。そんなことが誰にでも起こるリスクを背負っていたら、そりゃあ店子探しも慎重になるというものだ。

 
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