「ミイラとりがミイラ」に…?
「これまで散々悪口を言いましたが、一応夫にも良い面はあります。まず自分に甘いぶん、人にも甘く寛容なところ。彼と知り合って10年以上になりますが、彼が人に怒ったりしているところは見たことがないんです。
頼みごとをして断られたこともなく、子どもの面倒も頼めば二つ返事で快く引き受ける。それは子どもに対しても同じで、一緒にいればよく遊ぶし底抜けに優しいので、息子たちはパパが大好き。
なので、子どもたちのためにも私には離婚という選択肢はなかった。だけど、私も夫と同様に自由にさせてもらうことにしたんです」
以来、由紀子さんは家事と育児の分担を夫としっかり半分に分け、合計3年ほどの産休育休を経て職場に本格復帰。子供の保育園の送迎も半分は夫に任せるため、週の半分の夜は基本的に自由に過ごす……言い換えると、交友関係の幅をぐっと広げたそうです。
「夫ばかり独身の頃と同じように楽しんでるのはフェアじゃない。あの修羅場劇を目にしたときに夫への恋愛感情が冷めたのが幸いで、離婚はしないけれど外に目を向けられるようになりました。
それまでは夫に対して『ろくなデートをしてくれない』『たまにはオシャレなお店に連れていって欲しい』『愛人にはチヤホヤしてるんだろう』と悶々と恨みを抱えていましたが、無理に夫に求めなくてもいいと気づいて楽になったんです」
遠回しに語る由紀子さんに対し、「それは、あなたも婚外恋愛をしているという意味ですか?」と思い切って聞いてみると、彼女はこれまでの不快感をあらわにした表情とうって変わり、緩んだ顔でニコリと微笑んでくれました。
「実は私が外に目を向けた結果、夫はこれまでないくらい私に関心を向けるようになり、意外にも家庭は平穏になりました。
もう夫に興味はないので探りを入れているわけではないですが、たぶん元アイドル女性ともようやく関係が切れたようだし、女性の気配も感じないんです。それよりも家族のために手料理を作ってみせたり豪華な旅行を計画してみたりと、私の気を引こうとしているのが面白いです」
まさかの夫婦の立場逆転の結末。そして、ミイラとりがミイラに……と言ってしまうのは意地悪でしょうか。
これまで散々な思いをさせられ、ようやく「今が一番平穏」と微笑む由紀子さんに対し、部外者である筆者が「婚外で遊ぶのはよくない」とは言えませんでしたが、夫婦関係・男女関係はシーソーゲームのようであり、また様々な形があるのだと痛感させられました。
どうか今後もトラブルの再発なく、平穏な家庭でいられることを影ながらお祈りしています。
写真/Shutterstock
構成/山本理沙
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