つまり、パリブランドに執着のないフランス人夫がいる家庭は郊外住まいが多い。だからあなたの旦那さんはフランス人かと思ったけど、そうじゃないんだ珍しい〜ということが行間に込められていた(行間でもないか)。

それを聞いてしかし、私はなんとなく腑に落ちた。確かに知り合いの例を考えてみると、お金持ちなフランス人の旦那さんがいる家はやはりパリ住まいが多いけれど、普通のサラリーマン的旦那さんのご家庭の多くは郊外住まいだ。もちろん、昔は不動産も非常に安かったそうだから、相続した家をパリ市内に持っている人もいるし、その昔に家を購入した日本人がパリ市内に広い家を持っている場合もあり、一概には言えないけれど。

自分の迂闊さを晒すようで恥ずかしいが、実は8年住んでいた以前の家の住所、契約するまでパリなのだと思い込んでいた。前述の通り、道一本隔てた先はパリだったし、地下鉄も通っていたので、そこが他県だと全く思い付かなかったのである。

パリか、パリ以外か。街のブランド感と住み心地、どちらを優先させる?【フランス在住・井筒麻三子の住み替え備忘録】_img0
8年住んだ家のバルコニーから見えた景色。建物もオスマン建築ではないけれどそれに近い、縦長な窓の古い家が多かったので、住んでいた間もパリのおまけぐらいの気分でした。

引っ越し契約を結ぶ際に住所を見て、「ん? 75県じゃないの?」と判明。まあ時すでに遅しだったが、結果的に、パリではないちょい郊外生活を体験し、そしてそれはとても快適なものだとわかった。

そんな前回の家での暮らしで、ちょい郊外生活に対して懐疑的な気持ちが一掃されていたのだろう。そしてそのステップがあったから、現在のさらに郊外の家へ移ることができた気がする。パリ暮らしのままだったら、全くあり得なかった選択に違いない。そう考えると、まさに人間万事塞翁が馬だなあと思う。

 

パリか、パリ以外か。街のブランド感と住み心地、どちらを優先させる?【フランス在住・井筒麻三子の住み替え備忘録】_img1

<書籍紹介>
『GOROGORO KITCHEN  
心満たされるパリの暮らし』

著:井筒麻三子  写真:Yas
定価:¥1980
講談社

Amazonはこちら
楽天ブックスはこちら

 

パリで働く日本人Mamikoが、暮らしのvlogをYouTubeチャンネル「GOROGORO KITCHEN」でアップし始めたら、日本人だけでなく、世界中の人たち(現在チャンネル登録者数41万人)からの熱い支持が!
色や柄を自由に使った小さいけれど素敵な部屋、フランスの家庭料理も普通の和食も作る日々のおうちごはん、蚤の市でのお宝探し、農家からもらってきた2匹の猫……。
パリのおすすめレストランや、喜ばれるパリ土産もランキング形式でご紹介。
YouTubeでは語りきれない暮らしのコツや素顔のパリのエッセイを美しい写真と共にたっぷりとお届けします。 


撮影/Yas
 


前回記事「実はこんなにインテリアを自由に変えていた「家具付き賃貸ビフォーアフター」日本とまるで違うヨーロッパの物件事情【パリ在住・井筒麻三子】」>>

パリか、パリ以外か。街のブランド感と住み心地、どちらを優先させる?【フランス在住・井筒麻三子の住み替え備忘録】_img2
 
パリか、パリ以外か。街のブランド感と住み心地、どちらを優先させる?【フランス在住・井筒麻三子の住み替え備忘録】_img3
 
パリか、パリ以外か。街のブランド感と住み心地、どちらを優先させる?【フランス在住・井筒麻三子の住み替え備忘録】_img4
 
 
  • 1
  • 2