現在放送中の連続テレビ小説『虎に翼』では、主人公の寅子が明律大学女子部法科に入り、その後、男性だらけの法学の世界で切磋琢磨していきます。新潟編で登場する森口美佐江が「東大」に合格する様子が描かれますが、東大で初めて女性の入学が許されたのは1946年。東大には長らく女性の入学が認められていない時代がありました。
 

東大“だけ”異様な数字


文部科学省「令和5年度学校基本統計」によると、大学進学率は57.7%で過去最高を記録。男女の差も確実に縮まってきています(それでも男性の方が高い状況は続いています)。そんな中、東大では長らく女性比率が「2割」という状況が変わっていません。今回は2冊の本から、東大の女性比率の少なさについて考えます。

公正な入試によって比率が決まっているのだから、単純に実力の問題なのでは? と思う人もいるかもしれません。しかし、海外の一流大学の女性比率を見てみると、カルフォルニア大学バークレー校54.8%、ストックホルム大学64%、ケンブリッジ大学48.6%、北京大学46%など、女性比率が半数に迫る、または半数を上回っている状況です。さらに、理系のみのマサチューセッツ工科大学でも女性比率は48%です(『なぜ東大は男だらけなのか』矢口祐人著、集英社より引用)。こうしてみると、東大の約20%という数字がいかに異様かがよくわかります。実際、学力において男女差がないことは研究により明らかになっています。

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さらに、東大では教員においても、圧倒的に女性が少ないことが指摘されています。教授においては女性比率は9.2%と、なんと1割未満。准教授は15.5%、講師は15.8%、助教は19.2%、助手は55.2%(東京大学の概要 資料編2022)となっており、東大教授の矢口祐人氏は「職位が低いほど女性の比率が高い」と指摘しています。

『なぜ東大は男だらけなのか』(矢口祐人著、集英社)という本では、男性中心社会の弊害が指摘されています。2001年に東大のセクシャルハラスメントに関する報告書が公表されると、女性回答者の半数近くが学内でセクハラの被害に遭っていること、研究室と教室での被害が40%以上もあるという結果が明らかになったといいます。また、女性比率が少なすぎるため、ハラスメントを訴えると特定される可能性が高く言い出せない状況もあるのだといいます。

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なぜ東大は男だらけなのか』矢口祐人著、集英社