「1対1」で話している人は好印象を与える

同窓会をネガティブに考える自分を正当化できた理由とは?71歳のプロダクトデザイナーが、機嫌よく過ごすためのヒントを伝授!_img0
 

「1対1」で話している姿に、人は惹かれるものなのです。

なぜなら、多くの人は「1対1で真面目に話している人」が好きだから。本能的に「あの人は、対話する相手を大事にしてくれる」と察知するのでしょう。極論を言うと「大勢の輪の中で、不特定の相手に相槌を打っている人」よりも「1対1」で対話をしている人と話したいのです。

「そんな人と話せば、自分のこともきっと大事にしてくれる」と判断するわけです。

実際、多くの人が集まる場では、薄情になる人もいます。その人の素の顔が出てしまうのです。たとえば、それまで親しく話していたのに、仕事をくれそうな人や有力者が来たと見るや、挨拶もそこそこに、途端にそちらに行ってしまう人もいます。

それは「駆け引き」以上に失礼な態度だと思います。

 

わたしはこれまで大学などで教える立場だったので、学生さんや後輩など後進の人たちも集まるパーティーに呼ばれることもありました。そこに、著名人や偉い人が会場に現れることもしばしば。でもわたしは話をしている学生さんを差し置いて、そちらになびくようなことはしませんでした。

学生さんと1対1で話していたら、向こうから呼ばれない限りは、学生さんとの会話にそのまま興じ続ける。そんな人間でいたいと思っています。
 


著者プロフィール
秋田道夫(あきた みちお)さん

プロダクトデザイナー。1953年大阪生まれ。愛知県立芸術大学卒業。ケンウッド、ソニーで製品デザインを担当。1988年よりフリーランスとして活動を続ける。代表作に、省力型フードレスLED車両灯器、LED薄型歩行者灯器、六本木ヒルズ・虎ノ門ヒルズセキュリティゲート、交通系ICカードのチャージ機、一本用ワインセラー、サーモマグコーヒーメーカー、土鍋「do-nabe240」、湯のみ「80mm」など。2020年には現在世界一受賞が難しいと言われるGerman Design Award でGold(最優秀賞)を獲得するなど、受賞多数。2021年3月よりX(旧Twitter)で「自分の思ったことや感じたこと」の発信を開始。2022年7月からフォロワーが急増し、10万人を超える。著書に『自分に語りかける時も敬語で』(夜間飛行)、『機嫌のデザイン』(ダイヤモンド社)などがある。

同窓会をネガティブに考える自分を正当化できた理由とは?71歳のプロダクトデザイナーが、機嫌よく過ごすためのヒントを伝授!_img1
 

『60歳からの人生デザイン - 手ぶらで、笑顔で、機嫌よく過ごすための美学 -』
著者:秋田道夫 ワニブックス 1650円(税込) 

人間関係、お金、健康、時間など。X(旧Twitter)のフォロワー数が10万人超を誇る70歳のプロダクトデザイナーが、60歳から毎日を機嫌よく過ごすための考え方を書きつづります。シンプルでありつつも緻密に計算されたプロダクトデザインのごとく、優しく平易な語り口ながらもしっかりと腑に落ちる言説が魅力で、爽快感を味わえる一冊です。


写真:Shutterstock
構成/さくま健太
 
同窓会をネガティブに考える自分を正当化できた理由とは?71歳のプロダクトデザイナーが、機嫌よく過ごすためのヒントを伝授!_img2