今回は主治医も同行して万全を期した体制をとられていました。同じホテルに主治医がいるということが、心の安心につながったと思いますね。予定していた行事にすべてきちんとこなされた、すばらしいご訪問になりました。さらに、ともに思い出の地であるオックスフォード大学にも、お二人で訪問されましたね。

――絶対に失敗したくない、必ず成功させなければならないご訪問。ご病気のことがあるので、はじめから無理をされないスケジュールを組まれたのですね。

大久保さん:そうなんです。お二人で英国に行かれることに意味があったのですから。結果的には、十分友好親善の務めを果たされたと思います。

 


休養を取りつつ公式行事にご出席される「雅子さま渡航スタイル」


――雅子さまは、決意をもって行かれた英国だったのですね。

笑顔が印象的だった「雅子さま流の渡航スタイル」。今後の国際交流への「自信」につながった英国訪問【ジャーナリストが振り返る天皇皇后両陛下の訪英⑥】_img0
2024年6月、ウェストミンスター寺院を訪問された天皇皇后両陛下。 写真:ロイター/アフロ

大久保さん:はい。王室と皇室の代々のお付き合いがベースとなり、それを令和の時代に引き継いで、次の世代につなげるために重要なご訪問という受け止めをされていました。

歴史を踏まえた王室と皇室のお付き合いもさることながら、日英間は政治的にみても良好な状況にあります。そのタイミングでのご訪問となり、王室と皇室の成熟した関係を再認識し、さらに未来につなげる務めを果たされました。

――100パーセントかゼロかよりも、中庸を取る。それでよいのですね。私たちが仕事や生活をするうえでも、この考え方は学ぶところがありそうです。

大久保さん:大事な公式行事に焦点を絞って出席され、一部の行事はカットしてホテルでお休みになる。お二人揃ってその国を訪問することに意味があるのですから、雅子さまがまったく行かないよりもその方がよいのです。 今回の訪問で雅子さまは自信を持たれたと思います。これからの雅子さまの海外訪問も、おそらくこれがひとつのパターンになるでしょう。