休養を取りつつ公式行事にご出席される「雅子さま渡航スタイル」


――雅子さまは、決意をもって行かれた英国だったのですね。

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2024年6月、ウェストミンスター寺院を訪問された天皇皇后両陛下。 写真:ロイター/アフロ

大久保さん:はい。王室と皇室の代々のお付き合いがベースとなり、それを令和の時代に引き継いで、次の世代につなげるために重要なご訪問という受け止めをされていました。

歴史を踏まえた王室と皇室のお付き合いもさることながら、日英間は政治的にみても良好な状況にあります。そのタイミングでのご訪問となり、王室と皇室の成熟した関係を再認識し、さらに未来につなげる務めを果たされました。

――100パーセントかゼロかよりも、中庸を取る。それでよいのですね。私たちが仕事や生活をするうえでも、この考え方は学ぶところがありそうです。

大久保さん:大事な公式行事に焦点を絞って出席され、一部の行事はカットしてホテルでお休みになる。お二人揃ってその国を訪問することに意味があるのですから、雅子さまがまったく行かないよりもその方がよいのです。 今回の訪問で雅子さまは自信を持たれたと思います。これからの雅子さまの海外訪問も、おそらくこれがひとつのパターンになるでしょう。

――英国でお二人が笑顔で飛行機から降りて、またお二人揃ってご帰国されたお姿がすてきでした。

大久保さん:英国に行けるなら、ヨーロッパの国々は大丈夫です。次にどこに行かれるかは決まっていませんが、スペインやオランダ、ベルギーなど王室との付き合いがあります。ヨーロッパ、アジア、中近東には行かれるでしょう。1カ国を大事にご訪問して、雅子さまが休養を取りながら公式行事にしっかりご出席される。このスタイルが定着していくと思います。

――南米など、遠い国々はいかがですか。

大久保さん:フライトが丸1日かかるような国はちょっと難しいかもしれませんね。でも、これからは愛子さんたち若い皇族がどんどん訪問してくれるでしょう。

――愛子さまの海外訪問のお姿、ぜひ拝見したいです! 未来へつながる方たちのこれからのご活動が楽しみですね。

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●大久保和夫(おおくぼ・かずお)
毎日新聞客員編集委員。長年、宮内庁担当記者を続け、皇室を通して日本と日本人について考えることを大きなテーマにしながら、ジャーナリストとして活動している。


●聞き手
高木香織(たかぎ・かおり)

出版社勤務を経て編集・文筆業。皇室や王室の本を多く手掛ける。書籍の編集・編集協力に『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『美智子さまから眞子さま佳子さまへ プリンセスの育て方』(ともにこう書房)、『美智子さまに学ぶエレガンス』(学研プラス)、『美智子さま あの日あのとき』、『日めくり31日カレンダー 永遠に伝えたい美智子さまのお心』『ローマ法王の言葉』(すべて講談社)、『美智子さま いのちの旅―未来へー』(講談社ビーシー/講談社)など。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(共著/リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)。

キャプションは過去の資料をあたり、敬称・名称・地名・施設名・大会名・催し物名など、その当時のものを使用しています。
 

バナー写真/JMPA
構成・文/高木香織
編集/立原由華里


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