予想とは違った検視結果


医師からは、「事件性はないこと」「心不全による病死」だと言われました。
ただ、私と兄はこれまで、父が「うっ、心臓が苦しい」と胸を抑えたような姿を一度も見たことがありませんでした。それよりは、父は体の節々の痛みを誤魔化すために、四六時中ビールを飲んで酔っていたので、湯船で寝てしまったのではないか、と予想していたのです。ベッドの上で亡くなっていたなら、病死の可能性は高いですが、湯船の中ですしね。

この日のうちに父の遺体を葬儀屋さんに葬儀場へ安置してもらう予定だったのですが、私も兄もやはり「父が最後、なぜ亡くなったのかをきちんと知りたい」という思いがあったので、東京都監察医務院で解剖をお願いすることにしました。
正直、解剖で父の遺体にメスを入れることに抵抗はありましたが、それでも、「なんだったのだろう?あのときに調べておけばよかった」なんて後から後悔するのは避けたかったのです。
現実的な話として、病死と事故死では、父の入っていた保険でおりる金額もかなり違います。警察側は「事件性があるか、ないか」が重要でも、私たちにとっては、「病死か、事故死か」も大事なことなのですよね。

 

父の遺体はその日のうちに東京都監察医務院へ。翌朝、私と兄は東京都監察医務院に向かいました。
実は、ここで初めて、父の遺体と対面しました。それまでは、“お風呂場で亡くなった遺体”を見ることに抵抗があり、見るのを控えていたんです。葬儀のときに“死化粧をしたカッコイイ姿”を見たほうが父もうれしいのではないかと思っていたので。
でも、思いのほか、寝ているときと変わらない穏やかな表情をしていました。「亡くなるとき、あまり苦しまなかったのかもしれないな」と安堵しました。

解剖の結果は、2ヶ月後ですが、必要な検査は終えたようなので、遺体は火葬してもいいとのこと。葬儀屋さんにも来ていただき、東京都監察医務院から葬儀場へ父の遺体を安置していただきました。

4日後に葬儀を行ったのですが、そこでちょっと驚くことがありました(次のページにつづく)。