人並みに近づくためにめちゃくちゃお金がかかる
終電:私は中学生の頃からウイルス性イボがあったのですが、そのとき全然知識がなかったので、放置していて、20代半ばになってから、ウイルス性のイボだっていうのを知ったんです。その頃にはもう、顔から首、胴体全体に増殖していたんです。皮膚科で数えてもらったんですけど、3500個くらいあって。
ヒオカ:それって数えられます?
終電:医者と看護師がふたり体制でカチカチってやるやつでカウントしていました。
ヒオカ:紅白歌合戦のときの日本野鳥の会的な。
終電:保険適用の治療は飲み薬と液体窒素を使う方法があるのですが、それだと時間がかかるんですよ。そこで保険適用外のレーザー治療っていう選択肢が出てくるんですけど、実質選択肢がそれしかなくて、保険適用外で70万ぐらいかかりました。
ヒオカ:ええええ!!!
終電:そのときに思ったのが、例えば、70万かけて、赤ちゃんレベルの綺麗な肌に戻れるとかだったらいいけど、人並みに近づくために、こんな大金払うって何だろうって思って。いろんな不調を抱えながら生きるっていうのは、人並みに近づくためにめちゃくちゃお金がかかるっていうことなんです。
私たちはずっと、スタートラインを目指してる
ヒオカ:お金って、本来いくらあったら何に使おうとか、ウキウキして使い方を考えると思うんですけど、体が弱いと可処分時間も少ない上に、稼げる所得に限界があって、いわゆる最低限の暮らしをさまよっているので、可処分所得もほとんどない。無理して稼いでも、「無理して頑張ってしまった」分だけ、そのお金が医療費に消えるんですよ。入ってくるお金は頭打ちなのに、出て行くお金は際限がない。おばあちゃんみたいだけど、薬とか多すぎてどれを何個飲んだっけ? ってなることもありますね。稼いでは医療費に消えるばかりで、一体何が残ってるのかなって思います。
終電:それはすごく思いますね。ときどき「なんのために生きてるんだろう」って。
ヒオカ:身も蓋もない話ですけど(笑)。でもそれがリアルですよね……。
終電:本来、健康がベースにあって、何かやりたいこととか夢があったりして、頑張るものなんだけど、こんなに頑張っているのに、ずーーっと健康を目指している状態で、その先を思い描けないんです。
ヒオカ:人並みの生活に一生手が届かないですよね。
終電:ずっとスタートラインを目指してる、みたいな人生ですね。
撮影/加藤夏子
取材・文/ヒオカ
構成/金澤英恵
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