6. すぐに成果が出なくても焦らない
リスキリングは、短距離走ではなく、長距離走であるため、途中でさまざまな障害があったり、ストレスがかかったりすることもあります。その際に焦ってしまうかもしれません。しかし、仮にネガティブな状態になっても、しなやかに回復する力(レジリエンス)があれば問題ありません。すぐに成果が出なくて焦ったり、落ち込んだりしても、気持ちを切り替えて回復できることが大切です。リスキリング継続のカギは、「レジリエンス」にあります。
7. 発展途上の自分に自信を持つ
6で述べたように、リスキリングはすぐに成果が出るわけではありません。そのため、ある種の思い込みというか、取り組んでいるプロセスそのものを信じることが必要になってきます。現在発展途上にある自分に自信を持つことができると、それがエンジン(原動力)となって、前述の1〜6のマインドセットを維持しながら、リスキリングに取り組むことができるのではないかと思います。
仮に、信じることができないと思われても、新しいことに挑戦している自分を肯定する、褒めるといった姿勢は大切にしてください。私自身、40歳からリスキリングに取り組み始め、転職活動で評価されなかった当時を振り返って、完全に「発展途上の自分に自信を持つ」ことができていたかというと、答えはNOです。ですが、これまでに全く経験のない新しいことに挑戦し、自分で納得のいく成果を出すことが何度かできていたので、その点は肯定的に捉えていました。だからこそ、「発展途上の自分」の状態に身を置くことができていたのだと思います。
著者プロフィール
後藤宗明(ごとう・むねあき)さん
1971年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。富士銀行(現・みずほ銀行)を経て、米国で起業。帰国後、米国のフィンテック企業の日本法人代表などを務めたのち、2021年に一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブを設立し、代表理事に就任。現在は、リスキリングプラットフォームを提供する米国企業「SkyHive Technologies」の日本代表も務める。
『中高年リスキリング これからも必要とされる働き方を手にいれる』
著者:後藤宗明 朝日新聞出版 990円(税込)
40代で何度も挫折を経験した著者が、自らの実践をもとにリスキリングの重要性を説く一冊。AIの進化やデジタル人材不足が進むなか、中高年が労働市場で生き残るために、今必要なスキルや行動を具体的に解説。技術的失業に備え、将来の選択肢を広げるための道筋を示します。
写真/Shutterstock
構成/金澤英恵
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