「小学部でお世話になっていた愛育学園のあと、中学部からは旭出学園へ。通学には倍の時間がかかりますが、どうにかこうにか月曜から金曜までの人繰りのめどがつき、卒業する目前の2020年2月。新型コロナウイルス感染症が日本で拡大していったんです」
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「障がい児及び医療的ケア児を育てる親の会」という団体をご存じでしょうか? この会では、障がい児や医療的ケア児を育てながら、働き続けたい親たちが、ゆるやかにつながり、支え合っています。
障がい児や、医療的ケア児を育てながら働こうとする親の前には、両立を続けるためのハードルが幾重にも立ちはだかっています。子どもや家族の暮らしを守るため、この団体は行政や勤め先への働きかけを続けています。ケアの必要な子を育てている親も働き続けることができるよう、育児・介護支援制度を子の年齢で区切らず、障がいや疾患の状態に応じて配慮してもらえるよう、社会を変えようとしているのです。
この会の会長であり、朝日新聞社に勤めながら、重度の知的障がいを伴う重い自閉症の16歳の娘さんを育てていらっしゃる工藤さほさんへのインタビュー、第17回です。
第16回はこちら>>>母娘で交通事故に巻き込まれ、救急搬送。ワンオペの危うさを痛感し……【障がい児を育てながら働く⑯】
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—— 中学からは旭出学園に入学することになったのですね。
小学部までしかない私立特別支援学校の愛育学園を卒業した後の進学先をどうするか。大きな悩みでしたが、都内で唯一、高等部の先にさらに3年間の専攻科がある、育ちがゆっくりな娘に理想的な学校「旭出学園」が幸いにも見つかりました。
親子面接や行動観察を経て、無事に合格の通知を頂いたのが小学6年の冬。
通学時間は愛育学園の2倍はかかります。ラッシュアワーの電車に乗ることが難しい娘のために、朝送迎してくれる支援者を探すことが一番の課題でした。公共交通機関を利用できない子の通学は、本当に大変です。そのために親が失業することも珍しくありません。
どうにかこうにか月曜から金曜までの人繰りのめどがつき、愛育学園を卒業する目前の2020年2月、新型コロナウィルス感染症が日本で感染拡大していきました。
——あの大変な時期が、小学校卒業、中学入学のタイミングだったとは……。
当時、安倍首相が突然、臨時休校を要請をしましたよね。その要請が出された2月27日、私の家庭の状況を心配した当時の部長が「工藤さん、週明けから休校になるから、お子さんが行くところがなくなって大変でしょう。感染しても大変だし、在宅ワークに入ってください」と言ってくださったのです。
荷造りの猶予は2日間。いつ職場に戻ることができるかわからないため、段ボールにありったけの資料を詰めて、翌週から在宅ワークに入りました。
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