夫は「無責任」なのか?


ちなみに裕一さん夫婦は東京23区住まい。妻が専業主婦でマンションのローンや生活費全般を夫1人で支えるとなれば、たしかに月7万円のお小遣いの額は妥当で、15万円を毎月妻に与えるのは簡単ではないでしょう。

しかし一方で、都会でそれなりに楽しく暮らすならば、たしかに月に7万円で過ごすのもきつい気持ちもわかります。難しいところです。

僕からすれば、自分が楽しむだけのお金が必要なら、自分で働いてくれよって感じでした。フルタイムでなくても、ストレスの少ないパートなんかもたくさんあるじゃないですか。そう伝えると妻はまたヒステリーを起こして僕を罵って……」

裕一さんは当時を思い出したように、深い溜息を吐きます。妻曰く、「あなたが仕事を辞めろと言うから専業主婦になり、これまで以上に家事に注力しているのに無責任だ。今更パートをするくらいなら、キャリアを中断した意味は?」とのことで、夫を責め立てたよう。

筆者は普段女性を取材することが多いですが、夫側も妻からはよく見えない苦労やプレッシャーが多くあり、そして夫婦がすれ違っている様子にも気づかされます。また女性視点として、ここまで話を聞いて気になることが一点。

共働きの際、裕一さんは家事の分担はしていたのでしょうか?

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「それは妻にも度々文句を言われますが……。もともと家事が苦手なのでほとんどしてません。でも、一人暮らしの頃からそうだったんです。食事は外食でもコンビニ飯でもいいし、家事だって汚い洗濯物や食器が溜まればまとめてする、掃除も限界になればやりますよ。

妻はマメなタイプなので毎日細かく清潔にしていないと生理的に無理だと言いますが、ならそれは個人の問題で、僕に不満を持たれても……。家が綺麗なのは感謝してますが、家が広くなり人数が増えたぶん、家事の負担も増えてストレスだと八つ当たりされても、僕は理不尽に思います

裕一さんが家事に無頓着なこと、そして正反対の妻との間に確執が生まれた様子が想像できます。
 

 


「ケンカが多くなった結果、妻は結局また就職しました。イベント系のベンチャー企業だったんですが、すると彼女は専業主婦から一転して、全然家に帰らなくなったんです」

仕事柄、残業や会食、出張も入るようになったという妻。

裕一さんは最初は仕事だから仕方がないと思っていたそうですが、妻はお酒に酔って朝方に帰宅したり、また出張を明らかに延泊して家を頻繁に空けるようになったそう。

「この頃から何となく怪しさは感じていました。深夜に帰宅した妻に近づくと、何というか、男物の香水的な匂いがしたことも何度もあります。ん? と思うと彼女はすぐに風呂に入ってしまうんですが、今思えば完全にクロでしたよね。当時は『まさか』という感じで深く考えていなかったんですが。

でも、このままじゃ家庭を存続できない。年齢的にそろそろ子どもも作ったほうが良いのでは? と思い妻に相談し、まもなくして妊娠が発覚しました。母親になれば、彼女も色々と安定すると思っていたんですが……

ご自身も自覚しているようですが、明らかに家庭から離れ怪しい行動を重ねる妻を放置したのは、裕一さんの現実逃避、あるいは「臭い物に蓋をする」心理だったのでしょうか。

男女関係において何か不満や心配事などの問題がある際、「結婚や出産によりそれらが解決する」と漠然とした期待を無意識に持つ人は少なくないと思いますが、しかし大概、それらは解決しません。

むしろ一時的な対処療法で問題の本質から目を背けることで、水面下で育ってしまうパターンが多い印象です。裕一さんは「母親になれば妻は落ち着くはず」と思っていましたが、その後、彼女の行動は悪化を辿るのです。

来週公開の後編では、妻の浮気をひたすら見過ごし、夫の役目に徹し続ける裕一さんの心情とその理由を語っていただきます。


写真/Shutterstock
取材・文・構成/山本理沙
 
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