「”服づくり”を考えるのが大好き。
素材からイメージを膨らませます」

辺見えみりさんの新ブランド「コンテ」。50代の私が、いま一番気になる服の魅力とは?【松井陽子】_img0
コート¥79,200(コンテ)/コンテ 絶妙な配色がアクセントになったダブルフェイスのウール素材のコートは、ショップオープンの日に行列ができるほど注目を集めている、デビュー早々の人気コート。ベルトのアレンジ次第で、おしゃれの印象を変えてくれるのも楽しそうです。

えみりさんのコンテの服づくりは、素材ありき。まずはブランドのチームと、素材屋さんが持ってきてくれた大量の生地から、気になるものをどんどんピックアップして、どの生地をどんなデザインに乗せていこうか、というところから始まるのだそう。

「素材の段階で『この生地だったらこれができそう』って頭の中でイメージがどんどん膨らんでいきますね。このキュプラ混のシルクブラウスがまさにそう」

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シャツ ¥19800、カーディガン¥27500、ニットパンツ ¥25300 /コンテ(コンテ) その他、辺見さん私物 シルクとキュプラを混紡した、とろんとした肌馴染みとほのかな光沢感が心地いいシャツ。襟はくたっと首元に馴染み、ゆるりと柔らかな雰囲気に。袖口はカフスがなく、ボタンを外せばスリットのように手元に抜け感を加えてくれる。

「シャツは薄手のものが好きなのですが、意外と着られる期間が短いんですよね。繊細でも一枚で着られて、その後にニットに重ねられるものをシアーな素材で作ってみたい、というところから生まれたのがこのシャツ。パン粉のようなシャツがあったらいいなって思ったんです」。

 

……パン粉って? あのパン粉? ですか。

「そうです。ハンバーグを作るときのあのパン粉です(笑)。"つなぎ"役になってくれる、そんな気持ちなんですけど、ね。イメージを共有して『はい! わかりました』ってデザインチームがそれぞれの理解でシャツ作りを始めて、完成したものがこれ。このシャツ、この後出てくるニットにも全部合うんですよ。一枚シャツが入るだけで1コーディネート別のものを作ってくれるくらい、印象を新しくしてくれるんです。デザインも、袖口はカフスがなく、成り行きな感じ。透けすぎず、でもシアー感はあるので、冬のマットなウールと合わせた時に、センシュアルさとか抜け感が自然に生まれるんです」。

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ニットパンツ ¥25300/コンテ、パンプス¥59400/ネブローニ(コンテ)
ニットパンツは、パンプスでもブーツでも合わせられるように、裾をひと工夫。長めのリブはあえてピッチを変えてあり、足首から甲を華奢に演出してくれます。遠目に見ても美しい立体シルエットで、しゃれた雰囲気に。低めでもパンプスの効果で、リラクシーさだけではない女性らしい着こなしに着地。

えみりさんは、カーディガンのインナーに。ニットパンツも同系色のグレーで、セットアップのように。シャツの代わりにカットソーだったら、全然違いますよね。女性らしさも上品さも加味され、ぐっとセンシュアルに。パンプス合わせも、どこか余裕が感じられて、とっても素敵。すぐに真似してみたくなります。

「私って、どちらかというと、おしゃれをするということよりも、生地を見るとか、お洋服を作るその工程の方が好きなんです。まだ出来上がっていないのに、頭の中で形作られていく瞬間が最高に楽しくて。そして、サンプルができて、みんなに似合った時。みんなに似合うのって、ディレクターとして絶対なんです。『いい女に見えるよー!』ってチームのみんなと喜び合える時、その楽しさは、本当に幸せです」