姿勢次第で、ハッピーにもアンハッピーにもなる
さらに、姿勢についての研究は多くあり、「体が先、脳が後」という話を抜きにしても、科学的な効果が立証されています。
たとえば、先述のカーニーらの実験で、被験者の唾液を調べたところ、堂々とした姿勢の被験者たちからは、決断力や積極性や攻撃性に関係する「テストステロン」というホルモンが増え、ストレスを受けると分泌が増えるストレスホルモン「コルチゾール」が減っていたのです。
攻撃性がよくない形で発露することもありますが、前向きな気持ちでストレスも少ない状態というのは、基本的には「幸福」を感じる状態と言えます。
オークランド大学のカリッサ・F・ウィルキーズらの研究でも、背筋を伸ばすと自己評価が高くなり、気分もよくなり、恐怖心も少なくなるということが示されています(※3)。
他にも同じくオークランド大学のシュウェータ・ネアーらの研究でも、軽度・中程度の61人のうつ患者に胸を張ってもらったところ、肩をすぼめていた人たちよりも、よく話し、ポジティブな気持ちになり、不安も減少していました(※4)。
すなわち、背筋をピンと伸ばすことは、ラッキーアクションであると同時に、ハッピーアクションでもあるわけです。
お金や時間をかけずにできるアクションとして、こんなによいものはそうそうありませんし、背筋がピンと伸びている人は佇たたずまいが素敵です。ぜひ、実行してみてください。
こぼれる涙があろうとなかろうと、上を向いて歩きましょう!
※ちなみにカーニーはこの結果に関して自身で反論を出していますが、その後、共同研究者のハーバード大学のエイミー・J・カディに完璧に論破されています(※5)。
また、ここでご紹介したウィルキーズらやネアーらの研究のように、背筋を伸ばすことで得られるポジティブな効果に関する研究は枚挙にいとまがありません。科学というのは、こうやって議論を戦わせることが大切で、何が正しいかは簡単には決まらないのです。
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