年齢を重ね、肌悩みが多くなるにつれ「自分の肌に合ったスキンケアがわからない」という声が聞こえてきます。40代以降の第二次“お肌の曲がり角”対策には、「自分の肌状態を理解し、そのうえで正しいスキンケアをおこなうことが大事」と話すのは、ALOOP CLINIC & LAB院長の山﨑研志先生。最近の大人の肌悩み事情と美容クリニックとの上手な付き合い方についてお話を聞きました。
お話を聞いたのは……
「お肌の曲がり角」と呼ばれているエイジングの始まりは、20代の後半くらいから始まりますが、30代・40代・50代でもお肌の曲がり角があり、シワやしみ・たるみなど、エイジングサインも深く、そして複雑にからみ合っていくのが特徴です。
ここで、40代以降に多い大人の肌悩みを挙げてみましょう(山﨑先生)
40代以降の肌悩みトップ3
1)「たるみ」を気にする女性が急増! きっかけはコロナ生活!?
コロナ禍のマスク生活やオンラインの普及で浮上したのがたるみ悩み。マスク明けやオンラインで自分の顔の形の変化に気づく方が増えたのでしょう。ほうれい線・マリオネットライン・あご下・フェイスラインなど、顔の下半分のたるみを「何とかしたい」という方が増えています。
2)黒色のシミだけじゃない!
茶色や赤色の「色素」も気になる
シミ悩みも常に上位にありますが、最近は紫外線の影響で作られる黒(シミ)以外にも茶色や赤色のシミ(そばかすや肝斑)、他には青色(目の下のくまやくすみ)など、肌色の変化に気づく人が増えています。この背景には、近年の肌のトレンドである、透明感のあるツヤ肌が関係しているように思います。
3)20代と40代の「毛穴」に関する悩みは全然違う!
こちらも年代問わず、肌悩みのトップに上がるのは「毛穴」悩み。ですが、毛穴といっても20代と40代とでは悩みの質が異なるのが特徴です。20代はニキビなどの炎症悩みですが、40代は圧倒的に潤い不足。さらに、コラーゲンの減少による“たるみ毛穴”も増えてくるため、注意が必要なのです。
20代からのベタベタなテクスチャーが嫌で、40代の今になっても乳液やクリームを避けていませんか? ただでさえ潤い不足の肌に、乾燥というトラブルが重なると、皮脂が毛穴に詰まってしまいます。40代からのたるみケアもおこなうのであれば、悩みに合ったスキンケアの見直しは必須と考えてください。
他には、自分の肌タイプや今の肌状態を無視したスキンケアをおこなっているせいで、ダメージを与えている人も。SNSなどで情報を得られる便利さの一方で、その情報が正しいものであるか、自分の肌に適したお手入れなのか……、その見極めは非常に難しくなっているのも事実。“自分の肌の立ち位置を知る”ということは、実はとても大切なことなのです(山﨑先生)
スキンケアをしているのに肌が乾く……「乾燥」が治らないのはナゼ?
乾燥悩みを突き止めていくと「皮脂」と密接な関係があり、このバランスが非常に大事になってきます。皮脂を制することができれば、乾燥悩みも克服できるといっても過言ではありません。大切なのは、「肌にどれだけ水分を溜め込むことができるか」です。水分の蒸発を防ぐには、肌の表面に膜を張ってフタをすること。化粧品でいえば、乳液やクリームがその役目を担ってくれます。けれど、乾燥に悩まれている方の多くは乳液やクリームを使用していないという事実も。
また、テカリに悩んでいる人も同様に要注意。テカリの原因は、皮脂コントロールができていないサインだからです。潤いが足りていない状態を補うために、皮脂が過剰に分泌されているため、テカリで悩んでいる人も皮脂対策が必要になるわけです。
ベタつきが嫌で敬遠されていた乳液やクリームでフタをして、潤いを逃さない対策をおこなうこと。ベタつきが気になる方はテクスチャーの軽い化粧品を選ぶなど、工夫をしてみましょう(山﨑先生)
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ALOOP CLINIC & LAB院長・
皮膚科専門医・アレルギー専門医 山﨑研志先生
酒さという赤ら顔や敏感肌といった皮膚疾患の臨床研究を専門におこなう中で、皮膚自然免疫から表皮角層機能、さらにはメラノサイトの基礎研究に長期従事。皮膚疾患のメカニズムを熟知し、慢性的な皮膚疾患からシワ・たるみ・シミなどの大人のエイジング悩みにも応える皮膚のスペシャリスト。2023年12月からは、ポーラ化成と研究提供し、肌理論研究の知見とノウハウを活かした美容医療を提供するALOOP CLINIC & LABの院長を務めている。