しかし、投資を始めることを躊躇してしまい、5年あるいは10年、何もしない状態で放置すると40代の後半から50代の前半にかけて投資をスタートする結果になってしまいます。繰り返しになりますが、長期投資で成功するには20年くらいの期間を設定する必要がありますから、このケースでは確実に成果が得られるのは70歳以降ということになってしまいます。
長期になればなるほど有利ということであるならば、スタートする時期は早い方がよいに決まっています。
今、投資を始めるということになると「来年下がったらどうするのですか」という質問が必ず出てくるのですが、その答えも、もはや明らかでしょう。
来年、株価が下がっても同じ金額を淡々と投資を続ければ、今年よりもより多くの株数を取得できます。いつまでも下がり続ける相場というのはありませんから、数年間、下落が続いても我慢して買い続けていくと、株価が上昇に転じた時には大きな利益となって戻ってきます。したがって、長期で投資する場合には、いつ下がるか上がるかについて考える必要はないのです。
すぐに投資を始めた方が良いという理由にはもう一つあります。それは、投資というのは習い事やスポーツと同じように経験がモノを言うからです。
筆者は、長年、株式投資を続けたおかげで、それなりの資産形成に成功しましたが、30年近くにわたる投資経験を振り返るにつけ、投資に関する細かい知識ではなく、市場に対する慣れが大事であることを痛感します。
おそらく、本コラムでは繰り返し説明していくことになると思いますが、長期で投資をするにあたっては、経営が安定していて潰れる心配がないような企業を選ぶことが重要です。従って、銘柄選びで苦労することはほとんどありません。なぜなら誰もが知っている著名企業で、業績がよく、しっかりと配当を出している企業ということになると実はそう多くないからです。
銘柄選びは問題ではなく、むしろ相場が上がったり下がったり、という状況で心が乱されないよう、市場に慣れていくことの方が100倍大事であると言い切ることができます。
野球を始めたいなら、四の五の言わず、すぐキャッチボールから始めた方が良いという話と同じで、投資をやりたいのであれば、ほんの小さな額で良いですから、今からスタートして経験を積み、市場に慣れることが上手になる早道と言えるでしょう。
イラスト/Shutterstock
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